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第9回 統合失調症治療におけるラツーダ80mg/日の有効性


2021年6月、本邦でラツーダが「統合失調症」および「双極性障害におけるうつ症状の改善」を効能・効果として発売してから1年が経過しました。
今回は、「統合失調症治療におけるラツーダ80mg/日の有効性」についてQ&A形式でご紹介します。
より詳細な情報をご希望の先生はオンラインMRがリモートでご紹介いたします。

統合失調症における用法および用量は、「通常、成人にはルラシドン塩酸塩として40mgを1日1回食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は80mgを超えないこと。」となっています。
このように、ラツーダは、統合失調症患者さんには、1日80mgまで投与することが可能です。


まず、海外第3相試験(PEARL#1試験、PEARL#2試験、PEARL#3試験)1~3)において、ラツーダ40、80、120および160mg/日※1のプラセボに対する優越性が検証されました。
※1:ラツーダ120mg,160mgは承認外用量です。
1)Nasrallah HA. et al.: J Psychiatr Res., 47: 670, 2013
2)Meltzer HY. et al.: Am J Psychiatry., 168: 957, 2011
3)Loebel A. et al.: Schizophr Res., 145: 101, 2013


その後実施された、日本人を含むPan-Asia追加P3試験(PASTEL試験)4)において、主要な解析集団であるmITT集団※2では、ラツーダ40mg/日および80mg/日のプラセボに対する優越性は検証されませんでした。しかし、事後的な解析であるITT集団では、ラツーダ40mg/日および80mg/日のいずれの群でも有効性が示されたため、頑健な結果が得られなかった要因分析を行いました。
その結果、Pan-Asia追加P3試験(PASTEL試験)では、海外第3相試験で対象としたようなラツーダの有効性評価に最適な患者を、十分に集積できなかったことが主な要因と考えられました。そのため、海外第3相試験と同様の対象患者(選択基準として、「スクリーニング時のCGI-Sスコアが4以上の患者」を追加し、除外基準として、「スクリーニング直前3ヵ月(90日)を超えて連続で入院していた患者」等を追加)を抽出したところ、ラツーダ40mg群および80mg群の有効性が示唆され、そのeffect sizeは海外第3相試験と大きく異ならない結果となりました。
※1:他の抗精神病薬または評価前12時間以内にロラゼパムまたは他の睡眠導入剤を使用した際のデータを解析から除外する規定を設けた
4)社内資料:統合失調症患者を対象としたプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験[Pan-Asia追加P3試験(PASTEL試験)]
【承認時評価資料】


Pan-Asia追加P3試験(PASTEL試験)の検討結果に基づき、対象患者を海外第3相試験に近似させたJEWEL試験5)で、ラツーダ40mg/日の日本人を含む統合失調症患者での臨床試験を行った結果、有効性が検証されました。なお、ラツーダ40mg群のeffect sizeは海外第3相試験で有効性が検証されたラツーダ40mg群のeffect sizeと同程度でした。
5)社内資料:急性増悪期の統合失調症患者を対象としたプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(JEWEL試験)
【承認時評価資料】

日本人を含むJEWEL試験では、ラツーダ40mgのプラセボに対する優越性が検証されました。
本試験では、ラツーダ80mg群は試験の実施可能性を考慮し設定されませんでしたが、ラツーダ80mg/日についても、JEWEL試験と同様のデザインで試験が実施された場合、ラツーダ40mg/日と同様に有効性は期待でき、そのeffect sizeは海外第3相試験と同程度になると考えられました。

試験概要
本試験の対象は、JEWEL試験を完了した統合失調症患者289例です。
12週間の非盲検治療期では、ラツーダ40mgまたは80mgを1日1回、夕食時※3または夕食後に経口投与しました。Day 1からDay 7まではラツーダ40mg/日を投与し、Day 8以降は、臨床的に必要と判断された場合には80mg/日に増量することを可としました。
安全性の解析は、安全性解析対象集団を対象として、有効性の解析は、ITT集団を対象として行いました。
※3:本邦での承認用法は食後経口投与です
ラツーダ40mgから80mg/日への増量意義
JEWEL継続試験では、JEWEL試験のラツーダ40mg群で十分な効果が得られなかった患者集団におけるラツーダ80mgへの増量効果が検討されています。
JEWEL試験でのPANSS合計スコアの改善が20%未満のため、十分な効果が得られなかった患者集団において、PANSS合計スコアの非盲検期ベースラインからの変化量がラツーダ最頻投与量40mg群では-6.2であったのに対し、80mg群では-10.7でした。
このように、ラツーダ40mg/日で十分な効果が得られなかった患者で、ラツーダ80mg/日に増量した結果、改善が認められた患者が存在したことがわかりました。
安全性
副作用発現頻度は、プラセボ→ラツーダ40-80mg群52例(36.9%)、ラツーダ40mg→ラツーダ40-80mg群48例(32.4%)でした。
いずれかの群で発現頻度が2%以上であった副作用は、プラセボ→ラツーダ40-80mg群、ラツーダ40mg→ラツーダ40-80mg群の順に、悪心7例(5.0%)、3例(2.0%)、便秘4例(2.8%)、3例(2.0%)、血中プロラクチン増加3例(2.1%)、7例(4.7%)、アカシジア12例(8.5%)、7例(4.7%)、頭痛3例(2.1%)、5例(3.4%)、パーキンソニズム4例(2.8%)、2例(1.4%)、統合失調症4例(2.8%)、3例(2.0%)、不眠症4例(2.8%)、2例(1.4%)でした。

ルラシドン投与量と脳内ドパミンD2受容体占有率の関係性をPETを用いて検討した結果をお示しします。
脳内ドパミンD2受容体の平均占有率は、被殻と尾状核でそれぞれ、40mgでは66.69、67.50%、60mgでは80.52、84.25%、80mgでは75.31、78.88%でした。
therapeutic window を考慮した統合失調症治療において、ラツーダは40mg/日から80mg/日の用法用量で貢献ができる薬剤であると考えられます。

急性増悪期の統合失調症患者治療において、
ラツーダ40mg/日で効果不十分の患者さんは、
ラツーダ80mg/日への増量をぜひご検討ください。
より詳細な情報をご希望の先生はオンラインMRがリモートでご紹介いたします。