Vol.4 指導者の立場から(2)病棟業務通じて医師との信頼関係を構築し、タスク・シフトにも取り組む

多職種による質の高い精神科入院医療において、重要性高まる薬剤師業務

入院期間の短縮化のなか、再入院を減らす上でも“地域連携”が重要

谷藤 弘淳

医療法人有恒会こだまホスピタル(宮城県)/薬剤副部長

秋田県出身、1999年に北海道薬科大学(現・北海道科学大学)卒業後、秋田県内の保険薬局に勤務した後、笠松病院(秋田県秋田市、187床)に入職。2015年からは医療法人有恒会こだまホスピタル(宮城県石巻市、330床)に入職し、薬剤副部長を務めている。2020年からは宮城県病院薬剤師会副会長、日本病院薬剤師会では精神科病院委員会副委員長を務めている。日本精神薬学会、精神科臨床薬学研究会など学会活動では、研修会等の企画・運営に関わり、地域の薬局薬剤師を含め、精神科薬物療法に関わる関係職種の資質向上に努めている。2014年より日本病院薬剤師会・精神科専門薬剤師、2020年より日本精神薬学会・精神薬学会認定薬剤師に認定されている。

精神保健医療福祉領域において、2004年に「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が策定されました。このなかで「入院医療中心から地域生活中心へ」という理念が示され、全体としては精神科の入院患者数は徐々に減少傾向となり、平均在院期間も短縮化が進んでいます。しかし、現実には在院期間が1年以上という患者さんも少なくなく、その多くは、「統合失調症、統合失調型障害及び妄想性障害」の患者さんです。また、退院後約半年で3割ほどの患者さんが再入院しているとも言われています。厚生労働省では2017年に「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進」と方針を打ち出していますが、地域によって受け入れ基盤、支援体制は様々です。谷藤氏は入院医療においては、「多職種による質の高い精神科医療を行うことが求められ、その中で薬剤師が関わっていくことは非常に重要です」と語ります。その上で、再入院を減らすためにも、退院時・退院後の地域連携が重要だと指摘します。

POINT.1

病棟業務通じ医師や看護師からの信頼を得て、向精神薬の減量に積極的に介入

POINT.2

患者さんの話を傾聴し、「近くにいる存在」と認識してもらう努力と工夫が大事