開発の経緯
アムビゾームは、アムホテリシンBの抗真菌活性を維持したまま、副作用の軽減を図るため開発されました。 開発の経緯をご紹介します。
深在性真菌症は医療技術の進歩による compromised host の増加に伴い、年々増え続ける傾向にあるのに加え、疾患自体が重篤化し、治療に難渋する症例も増えています。
近年、新しい深在性真菌症治療薬がいくつか発売されましたが、 1960 年代に登場した注射用アムホテリシンB製剤が今でも治療薬として選択され使用されています。それは、アスペルギルス属やカンジダ属はいうに及ばず、ムーコルなどの接合菌までカバーする幅広い抗真菌スペクトルを有すること、今ある抗真菌薬の中で唯一真菌に直接作用し、殺菌的に効果を示すと考えられているからです。
その一方、腎機能障害や低カリウム血症、点滴注射中の発熱、悪寒、嘔気・嘔吐などの強い副作用を有している薬剤と位置づけられてきました。

山口 英世 著 『病原真菌と真菌症』 改訂4版 南山堂 P136より作図
このアムホテリシンBのもつ抗真菌活性を維持したまま、副作用の軽減を図ろうと考案されたのが米国 Gilead Science社(当時のVestar社、NeXstar Pharmaceuticals社)で創製されたAmBisomeです。
AmBisomeは、アムホテリシンBをリポソームと呼ばれる脂質二分子膜中に封入することで、アムホテリシンBの真菌に対する作用を維持しながら、生体細胞に対する傷害性を低下し、さらにアムホテリシンBの副作用で問題となる腎臓への分布量を低下させることに成功したDDS(Drug Delivery System)製剤です。
