【監修】
医療法人静心会 桶狭間病院 藤田こころケアセンター
理事長 藤田潔 先生 先生
藤田潔 先生
今回はこちらの架空症例を用いて薬物治療を一緒に考えてみたいと思います。このような症例は実臨床でよく遭遇しますよね。退院後は元の生活に戻れるよう、患者さんに寄り添いながら多職種で治療を進めることが大事だと考えています。
そのために私が考える薬物治療のポイントは次の通りです。
①確実かつ早期に症状を改善する
②多剤形を視野に入れることでスムーズな治療導入を試みる
③治療関係構築のために出来る限り非侵襲的な治療を選択する
ポイント② 多剤形を視野に入れることでスムーズな治療導入を試みる
ポイント③ 治療関係構築のために出来る限り非侵襲的な治療を選択する
ポイント②
統合失調症患者さんは多様な課題やニーズを抱えており、また趣味や嗜好、ライフスタイルは様々です。そのため、多様な剤形を患者さんに提示し、趣味や嗜好、ライフスタイルに合わせた薬剤を選択していくことが、その後の治療継続に重要です。
その一方、急性期治療の場面では、薬物治療に拒否的な患者さんがしばしばいらっしゃいます。薬物治療の導入が遅れると、リハビリテーションなどを含めた退院に向けた治療も遅れ、結果入院期間が長くなることを経験します。
そのため、治療導入時は経口薬以外の投与経路も検討し、スムーズな治療導入を心がけています。
私の経験上、経口薬に拒否的でもテープ剤なら受け入れる患者さんが多くいらっしゃいます。先生方から「剥がされるでしょ?」という疑問もよく聞きますが、それは経口剤の「吐き出されたら?」と同じです。貼っている間は確実に治療ができていますし、剥がすことができるというのは何かあった際に治療を中断できるというメリットになります。
ポイント③
テープ剤は注射剤よりも侵襲性が低く、患者さんの負担を軽減できます。さらに、「貼る」行為によって医療者との新たなコミュニケーションが生まれます。結果、治療関係の構築に好影響を与えることが期待できます。
私が考えるロナセンテープの注目ポイント
ではここで、私が注目しているロナセンテープのポイントを紹介します。
- テープ剤なので初回通過効果を受けないため、ドパミンD2受容体に親和性の高い未変化体が活性代謝体(M-1)よりも多く脳内に移行することを期待している
- 経口薬に拒否的な患者さんにも使える
- 注射剤よりも侵襲性が低い
- 通常、40mgを1日1回貼付だが、患者さんの状態に応じて承認最大用量の80mgで開始できる
- 検証的試験で急性期治療における有用性が認められた
ロナセンテープの処方を検討すべき患者像
藤田潔 先生
これらのポイントから、急性期統合失調症治療において私がロナセンテープの処方を検討する患者像はこちらです。
・早期に症状を改善したい患者さん
・治療に拒否的な患者さん
・ハロペリドール静注などの注射剤で治療を検討している患者さん
実際のロナセンテープの使用方法
最後に、急性期治療におけるロナセンテープの具体的な使い方を見てみましょう。
①ロナセンテープを主剤として、患者の状態に応じて40mg~80mgで開始し、忍容性および有効性を確認しながら、2週間程度で部分反応の評価を行う。精神運動興奮が強い場合はオランザピン筋注を一時的に併用する。退院を見据えた際には患者と継続方法について検討する。
②経口抗精神病薬を主剤とし、経口薬への同意や経口薬の効果が得られるまでロナセンテープを患者の状態に応じて40mg~80㎎で開始もしくは併用する。
藤田潔 先生
唯一の貼る治療であるロナセンテープを活かして、
統合失調症患者さんのより良い治療を目指しましょう!