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統合失調症患者さんの社会参加を目指して -希望に寄り添った治療-
監修:医療法人静心会 桶狭間病院 藤田こころケアセンター
理事長 藤田潔先生
施設紹介
1958(昭和33)年開設の桶狭間病院 藤田こころケアセンターは、17年ほど前から精神科救急に特化し、患者さんへの早期介入と早期社会参加に向けた体制を整えている。総病床数は312床、ECTやTMS、クロザピン治療も行っている。藤田医科大学をはじめ名古屋大学、名古屋市立大学、愛知医科大学と連携しており、関連施設としては前後駅前、徳重北、名駅のサテライトクリニックのほか、リハビリセンターやリワークセンターがある。
今回は、統合失調症患者さんの社会参加を目指した治療のポイントと、ゼプリオン・ゼプリオンTRIの意義を、医療法人静心会 桶狭間病院 藤田こころケアセンター 理事長 藤田潔先生に解説いただきました。
患者さんの希望に寄り添った治療を目指して
私は、医師が良いと思う治療方針と患者さんが望む治療にはすこし乖離があるように思います。医師はまず幻覚・妄想といった中核症状の改善を目指すことが多いと思います。一方、患者さんは、また学校に行きたい、仕事に戻りたいという退院後の生活に希望を持って治療に臨まれることが多いように感じています。つまり、私たちは患者さんの希望に寄り添い、地域生活を想像しながら治療を考えていく必要があると考えています。
統合失調症治療におけるLAIの価値
統合失調症は再発・再燃を繰り返す可能性が高い疾患です。地域生活を継続するためにも再入院はできるだけ防ぎたい訳ですが、服薬中断があると再発・再燃リスクにつながります。患者さんが服薬を止めてしまう背景には、症状悪化や副作用による苦痛、病識の欠如などがありますから、これらを総合的に評価して治療薬を選択する必要があります。なかでもLAIは、服薬中断による再発・再燃のリスクを軽減できる選択肢の1つといえます。
LAIの臨床的メリット
LAIは服薬アドヒアランスが担保されるため、再発・再燃のリスクが減ることはよく知られているかと思います。加えて薬物血中濃度の推移が安定することで、幻覚・妄想などの症状改善効果を安定的に発揮することが期待されます。また、錐体外路症状などの血中濃度に依存する副作用の軽減が期待できることもLAIのメリットだと考えます。
私がゼプリオンを検討する患者さん
パリペリドンはSDAならではの幻覚・妄想などへの陽性症状改善効果が期待できることもあって、ゼプリオンを比較的症状が重い患者さんに使用するイメージを持っている先生もいらっしゃると思います。もちろん私自身もそのようなケースで使用することは多くあります。
しかし、ゼプリオンの真の価値はそれだけではないと考えています。LAIのメリットの1つである薬物血中濃度推移の安定はもちろん、加えて3か月製剤であるゼプリオンTRI*は、1か月製剤であるゼプリオン**と比べて患者さんの通院負担や投与負担をさらに軽減できますから、患者さんが希望する生活の実現を後押ししてくれる存在です。
このことからも私は、症状の重い患者さんだけでなく、就労・就学、育児***などの社会参加を目指す比較的軽症な患者さんにも、積極的にゼプリオンの導入を検討しています。
ゼプリオンを検討する患者さんのイメージ
LAIを患者さんに紹介する際のポイント
LAIをどのタイミングで患者さんに紹介するか、悩まれることもありますよね。私の場合、入院後に薬物治療を開始するタイミング、外来移行のタイミング、外来通院が不規則になったタイミングなどで紹介するようにしています。
服薬アドヒアランスが不良な患者さんには「内服はどうしても忘れてしまうこともありますよね。その場合、1か月に1回**打てばいい注射剤がありますよ」と紹介します。さらに、「3か月に1回*の注射もあるので、より飲み忘れや通院負担を減らすこともできますよ」と合わせて紹介するようにしています。
ゼプリオンTRIを使用している患者さんの声
先日も、忙しくて外来通院が負担になってきたためゼプリオンTRI*に移行した患者さんと、「今日は暑いなか来られましたが、次の注射は10月で、その次は真冬ですね」と話をしました。すると患者さんも「そうなりますね」とニコニコされます。年13~14回の通院が必要な1か月製剤**から、年4回の季節ごとの通院になる3か月製剤*に移行することによる通院負担軽減は、患者さんにとっても大きいようです。それが治療意欲を保てる要因の1つになっているように感じることもあります。
患者さんのさらなる負担軽減を目指したゼプリオンTRI*移行のコツ
私は、患者さんの希望に寄り添いながら、ゼプリオンで治療が順調な場合にはゼプリオンTRI*への移行を検討するようにしています。しかし、ゼプリオン治療中で抗精神病薬を併用せざるを得ないケースもあり、単剤治療が原則のゼプリオンTRIへの移行に苦慮することもあります。
私は、ゼプリオンにSDAを併用している場合、ゼプリオンの用量を調整しながら単剤化し、ゼプリオンTRIへの移行を目指すようにしています。幸いにもゼプリオンには5規格(25mg, 50mg, 75mg, 100mg, 150mg)あるので、用量調整しやすい薬です。
一方、ゼプリオンにMARTAなどの異なる作用機序の薬剤を併用している場合は、ゼプリオンの用量を調整しても単剤化が難しいことがあるため、まずは併用薬の用量を減らしながら長期の安定を目指すようにしています。
高プロラクチン血症の対応
パリペリドンによるプロラクチン上昇も懸念されるところだと思います。私は、それで患者さんの日常生活に何らかの症状が生じているかどうかを診察時に確認するようにしています。検査をしてプロラクチンの値が上昇しても症状が無ければ、患者さんと高プロラクチン血症の臨床的な意味合いについて話し合い、定期的にモニタリングしながらパリペリドン治療を継続するか他剤に切り替えるかを検討しています1)。
1) Taylor,D.,et al.:The Maudsley Prescribing Guideline in Psychiatry 14th Edition,p152 Informa Healthcare,2021
患者さんの生活に合わせたゼプリオン・ゼプリオンTRIによる治療
1か月間隔投与のゼプリオン**だけでなく、3か月間隔で投与できるゼプリオンTRI*があることは、患者さんの通院負担軽減や、投与スケジュールを生活に合わせて設定できるなど、就労や、旅行に行くといった患者さんが希望する生活を叶える後押しになる薬剤です。
入院治療の時点から退院後の患者さんの生活を想像し、ゼプリオン・ゼプリオンTRIによる治療を検討してきましょう。
*【ゼプリオンTRI®電子添文2025年6月改訂(第4版)】
効能または効果:統合失調症(パリペリドン4週間隔筋注製剤による適切な治療が行われた場合に限る)
用法及び用量:本剤は、パリペリドン4週間隔筋注製剤が4ヵ月以上継続して投与され、適切な治療が行われた患者に対し、最終投与の4週間後から切り替えて使用する。通常、成人には、パリペリドンとして、パリペリドン4週間隔筋注製剤最終投与量の3.5倍量を、12週間に1回、三角筋又は臀部筋に筋肉内投与する。
**【ゼプリオンⓇ電子添文2025年6月改訂(第5版)】
効能または効果:統合失調症(パリペリドン4週間隔筋注製剤による適切な治療が行われた場合に限る)
用法及び用量:本剤は、パリペリドン4週間隔筋注製剤が4ヵ月以上継続して投与され、適切な治療が行われた患者に対し、最終投与の4週間後から切り替えて使用する。通常、成人には、パリペリドンとして、パリペリドン4週間隔筋注製剤最終投与量の3.5倍量を、12週間に1回、三角筋又は臀部筋に筋肉内投与する。
***【ゼプリオンⓇ電子添文2025年6月改訂(第5版)】
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで乳汁移行が認められている。
ゼプリオンの国際共同臨床試験:アジア共同臨床第Ⅲ相試験 JPN-4
国際共同臨床試験(アジア共同臨床第Ⅲ相試験 JPN-4)の結果はこちらからご確認ください。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は電子添文をご参照ください。
ゼプリオン水懸筋注25mgシリンジ/水懸筋注50mgシリンジ/水懸筋注75mgシリンジ/水懸筋注100mgシリンジ/水懸筋注150mgシリンジの製品基本情報(適正使用情報など)
ゼプリオンTRI国際共同臨床第Ⅲ相試験(PSY-3011試験)
(ランダム化・多施設共同・二重盲検・非劣性試験)(海外データ、日本人を含む)
ゼプリオンTRI国際共同臨床第Ⅲ相試験(PSY-3011試験)の結果はこちらからご確認ください。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は電子添文をご参照ください。
ゼプリオンTRI水懸筋注175mgシリンジ/水懸筋注263mgシリンジ/水懸筋注350mgシリンジ/水懸筋注525mgシリンジの製品基本情報(適正使用情報など)
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