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社会参加を見据えた入院治療とゼプリオン・ゼプリオンTRIがもたらす価値
監修:医療法人赤城会 三枚橋病院
理事長兼病院長 村上忠先生
施設紹介
1968(昭和43)年開設。当初は全開放の精神科医療を展開し、病院を中心にコミュニティーが形成されるなど地域医療の先駆けとも言える存在であった。代替わりを経て、重症患者さんも含めて入院治療を必要最小限に留めることを目指して精神科の救急急性期に特化していく方針が打ち出され、建て替えに合わせた病棟再編、その後の病床数削減を経て、現在、総病床数220床のうち約4分の1(58床)が救急病床である。群馬県の民間病院としては最初の救急急性期病院であり、東毛地区を中心に広範囲に精神医療を手がけている。
今回は、統合失調症患者さんの社会参加を見据えた入院治療のポイントと、ゼプリオン・ゼプリオンTRIの価値を、医療法人赤城会 三枚橋病院 理事長兼病院長 村上忠先生に解説いただきました。
統合失調症の治療方針
近年、統合失調症の軽症化や患者数の減少などが言われますが、依然として統合失調症は精神科の中で中核を占める疾患です。スティグマを解消して早期に治療介入することで社会参加できる患者さんも増えてきています。そういった方々を支えるためにも、入院回数や入院日数を必要最小限にすることが当院の方針です。処方は非定型抗精神病薬を中心に、合理的かつできる限り単純であることを目指し、用量も必要最小限にしたいと考えています。そして、同じ効果が得られるのであれば、副作用や服薬負担の少なさも考慮するようにしています。また、薬剤選択は医療者側が一方的に行うものではなく、剤形を含めたSDMをできる限り早期の段階から行うことで、患者さんが治療を続けやすい薬剤を選択できるよう心がけています。
統合失調症患者の入院治療とSDMの意義
非定型抗精神病薬としてSDAの方が早く登場し、定型抗精神病薬による多剤大量療法の名残りを受け継がざるを得なかったせいか、DPAの方が安全性の面で安心だというイメージが浸透しているように思います。ですが、SDA、DPAともに患者さんの状態に合わせて適切な用量で用いることが有用性を発揮するために重要と考えます。さらに、最近のSDAは、ドパミンD2受容体への親和性を保ちつつ、副作用に関する受容体への親和性を低くした薬剤が上市されています※1。そのため私は、急性期入院患者さんの薬物治療において陽性症状の改善を重視したい場合には、SDAでの治療開始を検討します。治療方針の決定に当たっては、患者さんが自身の治療に興味を持ち、主体的に取り組めるよう、LAIを含めた剤形の紹介と説明を行った上でのSDMをできる限り早い段階から行うことが望ましいと考えています。
※1:多田羅絢加ほか:臨床精神薬理, 24:327, 2021(本論文の著者は、大日本住友製薬株式会社(現:住友ファーマ株式会社)の社員である。)
ゼプリオンが適していると考える患者さん
退院後の患者さんの日常生活にはさまざまなライフイベントが起こります。学業や仕事、人間関係などでストレスを感じることもあるでしょう。このような局面でも、LAIやテープ剤は再発・再燃のリスクを減らしてくれると考えます。中でも、ドパミン受容体に対するフルアンタゴニスト作用を有するSDAであり、かつ1か月に1回の注射で安定した血中濃度を保つことができるゼプリオン*は患者さんの日常生活を支えてくれる薬剤という印象を持っています。このようなことから、ゼプリオンは症状の重症度に依らず、セルフリカバリーを目指す患者さんに広く適していると考えています。とりわけ、リスペリドンまたはパリペリドン経口剤で治療中の患者さん、入院前から服薬アドヒアランスに懸念があった患者さん、ストレスに敏感な患者さんでは、早い段階から、より積極的にゼプリオンの導入を検討します。
ゼプリオンTRIの意義
3か月製剤のゼプリオンTRI**が登場したことで、患者さんの社会参加の可能性と幅が広がったと思います。ゼプリオンTRIは1か月製剤のゼプリオンよりも、通院や服薬、費用の負担が軽減されます。通院間隔が3か月になり、服薬から解放されることで、治療が患者さんの学業や仕事、余暇の妨げになることを減らせます。ゼプリオンTRIへの移行を目指すことが治療の動機付けになる患者さんも少なからずいます。自身が実現したい目標があることは、治療を続けて行く上で大切なことだと思います。
副作用への対処
統合失調症に限らず、治療選択はリスク・ベネフィットの判断に基づきます。LAIの方が再発・再入院のリスクを低く抑えられる※2ことを重視して、許容範囲の副作用であればLAIを継続しながらその副作用にどう対処していくかを患者さんと相談することもあります。例えばゼプリオンにより血中プロラクチンが上昇した場合、まずは症状があるのかないのか、あるのであればそれを患者さんがどのように感じているかが重要です。月経不順などなんらかの自覚症状があり、生活に支障を来たしている場合には当然、対処をする必要があります。自覚症状がない場合でも「このまま注射を続けることと、毎日お薬を飲み続けること、どっちがいいかな?」などと投げかけて、希望があれば治療薬を変えることもありますが、ゼプリオンを継続される患者さんも多くいます。
※2:Taishiro Kishimoto et al., Lancet Psychiatry.2021 May;8(5) :387-404.
ゼプリオンからゼプリオンTRIへ切替時のポイント
患者さんには、最初のSDMを実施する際から「LAIには2週間あるいは4週間に1回のものと、ゆくゆくは12週間に1回まで間隔が延ばせるものがありますよ」と伝えます。年に4回打つだけで良いのであれば、いまやインフルエンザワクチンやコロナワクチンなど年に2~3回注射を受ける世の中ですから、受け入れられやすいようです。
また、ゼプリオンTRIは抗精神病薬の併用ができませんので、抗精神病薬の併用がある患者さんではゼプリオン導入時から単剤化に向けた処方調整を進めます。ゼプリオンを導入し定期的に注射を受けている患者さんではフルアドヒアランスが実現されるため、併用薬の服用を続けていると副作用が発現することがあります。これは抗精神病薬を減らせるというサインです。発現した副作用に合わせて併用薬を減らしていくと、労せずして単剤化が果たせるケースを数多く経験しています。催眠・静穏効果を期待して併用されている抗精神病薬は、オレキシン受容体拮抗薬や気分安定薬などに切り替えることで減量・中止することが可能です。実際にこの方法で、当院でゼプリオンを継続している患者さんの2~3割がこれまでにゼプリオンTRIに移行できています。
*【ゼプリオンⓇ電子添文2025年6月改訂(第5版)】
効能又は効果:統合失調症
用法及び用量:通常、成人にはパリペリドンとして初回150mg、1週後に2回目100mgを三角筋内に投与する。その後は4週に1回、パリペリドンとして75mgを三角筋又は臀部筋内に投与する。なお、患者の症状及び忍容性に応じて、パリペリドンとして25mgから150mgの範囲で適宜増減するが、増量は1回あたりパリペリドンとして50mgを超えないこと。
**【ゼプリオンTRI®電子添文2025年6月改訂(第4版)】
効能または効果:統合失調症(パリペリドン4週間隔筋注製剤による適切な治療が行われた場合に限る)
用法及び用量:本剤は、パリペリドン4週間隔筋注製剤が4ヵ月以上継続して投与され、適切な治療が行われた患者に対し、最終投与の4週間後から切り替えて使用する。通常、成人には、パリペリドンとして、パリペリドン4週間隔筋注製剤最終投与量の3.5倍量を、12週間に1回、三角筋又は臀部筋に筋肉内投与する。
ゼプリオンの国際共同臨床試験:アジア共同臨床第Ⅲ相試験 JPN-4
国際共同臨床試験(アジア共同臨床第Ⅲ相試験 JPN-4)の結果はこちらからご確認ください。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は電子添文をご参照ください。
ゼプリオン水懸筋注25mgシリンジ/水懸筋注50mgシリンジ/水懸筋注75mgシリンジ/水懸筋注100mgシリンジ/水懸筋注150mgシリンジの製品基本情報(適正使用情報など)
ゼプリオンTRI国際共同臨床第Ⅲ相試験(PSY-3011試験)
(ランダム化・多施設共同・二重盲検・非劣性試験)(海外データ、日本人を含む)
ゼプリオンTRI国際共同臨床第Ⅲ相試験(PSY-3011試験)の結果はこちらからご確認ください。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は電子添文をご参照ください。
ゼプリオンTRI水懸筋注175mgシリンジ/水懸筋注263mgシリンジ/水懸筋注350mgシリンジ/水懸筋注525mgシリンジの製品基本情報(適正使用情報など)
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