脳腫瘍を含む小児悪性固形腫瘍に対する自家造血幹細胞移植を伴う大量チオテパ+メルファラン療法

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「脳腫瘍を含む小児悪性固形腫瘍に対する自家造血幹細胞移植を伴う大量チオテパ+メルファラン療法」

Hara J et al.: Bone Marrow Transplantation. Published: 03 November 2022.

本研究は脳腫瘍を含む小児悪性固形腫瘍患者(41例)を対象に、自家造血幹細胞移植の前治療としてチオテパ(リサイオ)とメルファランを併用したときの安全性と有効性を検討するために行われました。
本研究について、バーチャルMRの本田誠也が解説します。
本結果が本剤による治療の参考になれば幸甚に存じます。

本田誠也MR(バーチャルMR)による解説動画

2023年03月27日配信 6分59秒

「脳腫瘍を含む小児悪性固形腫瘍に対する自家造血幹細胞移植を伴う大量チオテパ+メルファラン療法」の結果について、バーチャルMRの本田誠也が解説します。

調査方法

目的

脳腫瘍を含む小児悪性固形腫瘍患者を対象に、自家造血幹細胞移植の前治療としてチオテパとメルファランを併用したときの安全性と有効性を検討する。

対象患者

自家造血幹細胞移植を施行予定の脳腫瘍を含む小児悪性固形腫瘍患者41例

試験デザイン

多施設共同、オープンラベル、非対照、拡大アクセスプログラム

投与方法

造血幹細胞移植施行日をHSCT Day 0 とし、プロトコール治療開始日から造血幹細胞移植施行前日(HSCT Day −1)までを前治療期、造血幹細胞移植施行日から造血幹細胞移植28日後(HSCT Day 28)までを移植期とし、予後調査は造血幹細胞移植100日後の転帰が確認されるまで適宜行った。

チオテパは200mg/m2/日を4日間(造血幹細胞移植予定日の12、11、5及び4日前)、24時間かけて点滴静注し、メルファランは70mg/m2/日を3日間(造血幹細胞移植予定日 の11、5及び4日前)、1時間かけて点滴静注した。

なお、造血幹細胞移植7日前のeGFRが基準値(18歳以上:≧45mL/min/1.73m2、 18歳未満:≧75mL/min/1.73m2 )を満たさない場合、チオテパならびにメルファランの5及び4日前の投与は中止することとされた。

評価項目

主要評価項目:安全性

・試験治療開始から造血幹細胞移植28日後(HSCT Day 28)までの
 有害事象(Treatment Emergent Adverse Event:TEAE)
・ECOG PS
・身体所見、臨床検査:12誘導心電図、LVEF、臨床検査値、バイタルサイン、体重
・有害事象の評価にはMedDRA version 19.1を用いた

副次評価項目

・骨髄抑制率
・生着率
・生着までの期間
・造血幹細胞移植100日後(HSCT Day 100)の生存率

結論

拡大アクセス試験において、チオテパ+メルファラン併用レジメンは、日本人の脳腫瘍を含む小児悪性固形腫瘍患者に対する自家造血幹細胞移植の前治療での忍容性が確認された。
予期せぬ有害事象は観察されず、死亡あるいは投与中止に至った有害事象も認められなかった。​

全例で骨髄抑制ならびに造血幹細胞移植100日後(HSCT Day 100)の生存を認め、生着率は95.1%であった。

研究限界として、以下が存在する。
・オープンラベルデザインかつ小規模の試験であること​
・対象患者がアジア系人種に限られ、人種差によらない結果とは言えないこと​
・移植後100日から先の生存を追跡できておらず、長期予後評価には更なる検討が必要であること

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