【テーマ:COVID-19②】
CONFAMI研究:COVID-19流行時におけるロックダウンが子どもとその家族に与えた影響について

ENCEPHALE, 48, 647-652, 2022 Étude CONFAMI: Effets du Confinement durant l’Epidémie de la COVID-19 sur la Vie des Enfants et Leur Famille. Zebdi, R., Plateau, E., Delalandre, A., et al.

背景と目的

SARS-COV-2(COVID-19)は2019年12月に中国で発生し,2020年2月にフランスでも確認され,フランス政府は2020年3月17日~5月11日の期間,厳格なロックダウン措置を導入した。特に,子どものような脆弱な集団において,感染症対策がもたらす心理的影響は考慮されるべきである。

家族のロックダウン(CONfinement en FAMIlle:CONFAMI)調査の目的は,COVID-19とロックダウンに直面した子どもの感情経験を,両親の主観的な経験と関連させて調査することである。

方法

本研究は,量的分析と質的分析を組み合わせた方法による匿名オンライン調査である。調査にはLogiciel Qualtrics®を使用した。質問は閉じた形式(例:「子どもにCOVID-19について説明しましたか?」)や開かれた形式(例:「ロックダウンの否定的側面を1~5語で説明してください」),及び視覚的アナログ尺度形式(例:「ロックダウン後,子どもたちは日常生活にどれくらい関わっているかを-10から+10の評点で示してください」)で構成された。調査項目は,生活背景や感情経験,親が感じる子どもの日常生活の影響などのテーマに焦点を当てたものであり,参加者の募集は2020年4月22日~5月22日の期間に,ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)やEメールを用いて行った。

結果

生後1週間~27歳の子どもを1人以上持つ親439人がアンケートに回答した。回答者の平均年齢は38歳6ヶ月±6歳10ヶ月であった。ロックダウン中,回答者の91.50%,子どもたちの88.60%は常に同じ住居で過ごしていた。

感情経験の定量分析によると,0~10の評価尺度で,住居(8.42)と外出の質(8.5)の満足度が高く,COVID-19に関しては中程度に危険にさらされていると感じていた(4.21)。また,感染対策の重要性は中程度であると考えていた(6.70)。子どもたちの心配度は親に比べて低く(子ども:3.38,親:5.52),子どもたちはCOVID-19の状況をよく理解しており(6.49),あまり心配せずに受け入れていた(6.71)。

一方,いつもより陰性の感情を経験する子どもでは,睡眠の質の低下(29.10%),不安(25.10%),退屈(36.10%),いらいら(35.10%)が増加していた。

考察

子どもたちの中には陰性の感情を抱く者もいたが,ほとんどの家族はロックダウン中も安全な日常生活を送ることができていた。ただし,本研究の参加者のほとんどが女性(89.10%)で,管理職(48.70%),一軒家に住んでいる人(65.80%)が多いという特定の層であり,フランスの一般層と合致せず一般化することが難しいという限界がある。しかし,このような安定した家庭環境が子どもたちの不安や悲劇的な感情を抑え,家族の絆や仲間意識を強化し,保護因子となることが示唆された。これらの因子は,子どもとその家族に提供されるべき介入の指針となる可能性がある。

262号(No.4)2023年9月27日公開

(小泉 輝樹)

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