1件のメタアナリシスは、これらの薬物が心血管疾患および腎疾患のリスクを低下させ、基礎に心血管疾患を有する患者で心関連の利益がもっとも大きいことを示している。
ナトリウムグルコース共輸送体2(sodium-glucose cotransporter 2:SGLT2)阻害薬は、糖尿病を治療するために開発され、有害な心血管イベントのリスクを低下させるようである。2型糖尿病患者におけるSGLT2阻害薬の心血管アウトカムに関する主要なランダム化試験3件が発表され、研究者らは、これらの試験の系統的レビューとメタアナリシスを行った。EMPA-REG OUTCOME試験には7,020人(心血管疾患[cardiovascular disease:CVD]を有する患者の割合100%)が組み入れられ、empagliflozin(Jardiance)またはプラセボの投与を受けた。CANVAS Program試験には10,142人(CVDを有する患者の割合66%)が組み入れられ、canagliflozin(Invokana)またはプラセボの投与を受けた。DECLARE-TIMI 58試験には17,160人(CVDを有する患者の割合41%)が組み入れられ、dapagliflozin(Farxiga)またはプラセボの投与を受けた。追跡期間の中央値は2.4~4.2年であった。
SGLT2阻害薬は、主要心イベントのリスクを11%低下させた。この利益は主にCVDを有する患者で生じ、これらの患者ではリスクの14%の相対的減少が認められた。CVDを有しない患者ではリスク減少はみられなかった。心リスクでもっとも顕著な相対的減少がみられたのは、心不全による入院であった。SGLT2阻害薬は、腎機能の悪化、末期腎疾患、腎関連死から成る複合エンドポイントのリスクも低下させた。
CITATION(S)
Zelniker TA et al. SGLT2 inhibitors for primary and secondary prevention of cardiovascular and renal outcomes in type 2 diabetes: A systematic review and meta-analysis of cardiovascular outcome trials. Lancet 2018 Nov 10; [e-pub]. (https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)32590-X)
Verma S et al. Pump, pipes, and filter: Do SGLT2 inhibitors cover it all? Lancet 2018 Nov 10; [e-pub]. (https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)32824-1)
コメント
まとめると、3件のSGLT2阻害薬の試験は、心不全による入院を防ぐ利益と腎保護作用の利益を示している。未解決の問題は、この効果がこの薬物クラスで一貫しているかどうかである。このメタアナリシスは、CVDを有する人々(これらの試験の患者の大多数)が心リスクの低減から利益を得ることも示唆している。SGLT2阻害薬は、糖尿病とCDVを有する人々に有望な治療法として注目されつつある。