SGLT2阻害薬は、体液量減少を起こしやすい患者にはよい選択肢ではないかもしれない。
ランダム化試験では、2型糖尿病を有し、心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)のリスクが高い患者で、canagliflozin(Invokana;ナトリウムグルコース共輸送体2[sodium glucose contransporter-2:SGLT2]阻害薬)の投与を受けた患者は、プラセボ投与を受けた患者よりも有害心血管イベントを経験することが少なかったが、下肢切断はより多かった(NEJM JW Gen Med Aug 1 2017、N Engl J Med 2018; 377:644)。1件の新たなコホート研究で、研究者らはデンマークとスウェーデンの全国登録を用いて、SGLT2阻害薬と7つの有害アウトカムとの関連を検討した。
2型糖尿病を有し、新たにSGLT2阻害薬(61%がdapagliflozin[Farxiga]、38%がempagliflozin[Jardiance]、1%がcanagliflozin)の処方を受けた17,000人を超える患者(平均年齢61歳)が、同数のグルカゴン様ペプチド1(glucagon-like peptide-1:GLP-1)受容体作動薬(解析されたアウトカムとの関連が知られていない)の新規使用者と傾向スコア(propensity-score)でマッチされた。SGLT2阻害薬は、下肢切断(ハザード比[hazard ratio:HR]2.3)、糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis:DKA、HR 2.1)の有意に高いリスクを伴ったが、骨折、急性腎障害、重篤な尿路感染症、静脈血栓塞栓症、急性膵炎の有意に高いリスクは伴わなかった。
CITATION(S)
Ueda P et al. Sodium glucose cotransporter 2 inhibitors and risk of serious adverse events: Nationwide register based cohort study. BMJ 2018 Nov 14; 363:k4365. (https://doi.org/10.1136/bmj.k4365)
コメント
この研究は交絡が残存していた可能性があるが、SGLT2阻害薬はGLP-1受容体作動薬と比べて、下肢切断とDKAの2倍以上のリスクを伴った。canagliflozinにはすでに切断のリスクに関するFDAの黒枠警告が記載されているが、American College of Cardiologyは最近、2型糖尿病と確立されたCVDを有する患者のCVDのリスクを低下させるためにSGLT2阻害薬(およびGLP-1受容体作動薬)を推奨した(J Am Coll Cardiol 2018 Nov 26; [e-pub])。いったいどうすべきであろうか? 著者らはSGLT2阻害薬によって誘発される体液量減少が切断とDKAのリスクをもたらす機序の一つであるかもしれないと推測している。臨床家は、体液量減少を起こしやすい患者や、下肢末梢血管疾患を有する患者へのSGLT2阻害薬の処方は避けたいと思うかもしれない。