重篤患者において、指趾虚血は通常、保存的管理と昇圧薬の中止で回復する。
指趾虚血は、重篤な疾患の苦痛をもたらす合併症であり、患者とその家族に不安を生じさせる。Oregon州の単一施設において、研究者らは、7年間に指趾虚血の評価を受けた集中治療室(intensive care unit:ICU)患者98人の症例を調べた。
症例は、この施設における指趾虚血評価法の中心的項目である、指趾の光電式容積脈波記録法(photoplethysmography)に対する請求記録に基づき同定された。すべての患者に指趾の変色がみられ、半数に痛みまたは感覚異常があった。患者の3分の2は片側性で、3分の1は橈骨動脈ラインを使用されていた。糖尿病、高血圧、末梢血管疾患が頻度の高い併存症であった。
指趾虚血の患者の大部分が昇圧薬による治療を受けており、とくに多かったのはnorepinephrineとphenylephrineであった。患者の半数以上が複数の薬物を投与されていた。切断が必要な段階まで虚血が進行した患者は5人のみであり、大部分の患者は保存的治療に反応し、ショック状態の解消に伴い改善した。指趾虚血イベントのあった患者の生存率は、5年の時点で50%であった。
CITATION(S)
Landry GJ et al. Causes and outcomes of finger ischemia in hospitalized patients in the intensive care unit. J Vasc Surg 2018 Nov; 68:1499. (https://doi.org/10.1016/j.jvs.2018.01.050)
コメント
この記述的な論文は、ICUで遭遇する指趾虚血の大部分は可逆性の血管攣縮によるものであると安心させるものである。著者らは、どの昇圧薬、またはどの程度の使用期間がもっとも高いリスクをもたらすかを明らかにすることはできなかったが、患者を可能な限り早く血管作動薬から離脱させることが、指趾虚血を予防または軽減する最善の方法である。