歯に関する訴えに対する抗菌薬の使用

Antibiotic Use for Dental Complaints

1件の全米調査で、救急診療部で歯科診断を受けた患者の大部分が、おそらく適応でない抗菌薬を処方されていた。

救急診療部(emergency department:ED)受診へと駆り立てる歯に関する訴えの大部分は抗菌薬を必要としない。著者らは、2011~15年のNational Hospital Ambulatory Medical Care Survey(NHAMCS)を再検討し、米国における歯に関する訴えでのED受診率と抗菌薬使用率を推定した。

全体で、すべてのED受診の1.6%が歯に関する訴えによるものであった(全米で約220万件の受診に相当)。これらのうち65%で抗菌薬が処方され、処方の約90%が狭域スペクトルのペニシリン系かclindamycinであった。抗菌薬の処方は小児(23%)のほうが成人(69%)よりも有意に少なかった。もっとも多い診断コードは詳細不明の歯科疾患、根尖周囲膿瘍、齲蝕であった。

コメント

抗菌薬はこれらの診断にルーティンに必要とはされていない。われわれはオピオイド系薬物の危険についてより多くを知るようになり、私が思うのは、これらの抗菌薬処方は、苦しむ患者に、その多くは歯科のフォローアップを受けることが困難かもしれない患者に、(効果がないことであっても)何かをしてあげたいという願いからなされているのではないだろうか。したがって、この不経済で、有害な可能性がある診療に歯止めをかけるには、歯科診療へのアクセスの改善が、質改善への介入よりも大きな効果をもつかもしれない。

CITATION(S)

Roberts RM et al. Antibiotic prescriptions associated with dental-related emergency department visits. Ann Emerg Med 2018 Nov 1; [e-pub]. (https://doi.org/10.1016/j.annemergmed.2018.09.019)

Original Issue: Vol. 39 No. 2