しかし代理人は、患者の意向を理解しているという自信をもっていた。
医療に関する意思決定に代理人が参加することは、とくに代理人が患者の希望を正確に理解している場合は有益である。研究者らは、Veterans Affairs医療システムの349人の患者に、医療に関する意思決定が自分でできなくなった場合に指名するであろう代理人を特定するよう依頼した。患者とその代理人は別々に、医学的治療から生じうる3つの帰結、すなわち(1)身体的な障害(寝たきりで基本的要求に援助を要する)、(2)認知障害(家族を認識できない)、(3)「骨折や虫垂炎に匹敵するほど激しい」日常的な痛みについて、患者が受け入れられる/受け入れられないを評価するよう依頼された。代理人はまた、患者の希望を理解している自信がどの程度あるかを尋ねられた。
代理人の75%はきわめて自信があると評価したが、それぞれの帰結について代理人の回答が正確であったのは約55%にすぎず、生じうる3つの帰結すべてにおいてパートナーの患者の評価と正確に一致した代理人は21%のみであった。代理人の自信と、代理人がパートナーの患者の意向を正確に評価する能力とのあいだに相関は認められなかった。
CITATION(S)
Fried TR et al. Assessment of surrogates' knowledge of patients' treatment goals and confidence in their ability to make surrogate treatment decisions. JAMA Intern Med 2018 Nov 26; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2018.5299)
コメント
この研究において、代理人は自分が代理を務める患者の意向を予測する能力に関して自信過剰であったようである。しかし、仮定のシナリオのもとで患者とその代理人になるであろう者が示した見解は、現実における意思決定を正確に反映していないかもしれない。そこには不確かさ、不安、その他の情動的要因や心理的要因が関わってくる。それでも理想としては、アドバンス・ケア・プランニング(advance care planning)には代理人と患者の双方が関与すべきである。