患者が目に見える形で報告を受けたあとのほうが、薬物治療と生活習慣の修正の両方へのアドヒアランスが良好であった。
心血管疾患の一次予防は、患者と医師の両方による、エビデンスに基づくガイドラインへのアドヒアランス不良が原因でしばしば失敗する。患者に存在するアテローム性動脈硬化を目に見える形で提示することは、予防ガイドラインへのアドヒアランスを向上させるであろうか?
研究者らは、スウェーデン人の住民集団に基づく心血管予防プログラムの参加者3,532人(年齢60歳超、または40歳超で従来の心血管危険因子を1つ以上有する)を、頸動脈超音波検査を受け、その結果について目に見える形で報告を受ける群か、そのような報告を受けない群にランダムに割り付けた。各患者のレポートには、定型化された超音波画像と、血管年齢を暦年齢と比較した尺度を示した。目に見える形で報告を受けた患者はまた、6ヵ月後に看護師からの強化のための電話とレポートの写しを受け取り、患者の担当医師もそのレポートの写しを受け取った。目に見える形での報告を受けなかった患者は、標準的なガイドラインに基づく予防診療を受けた。
1年後、Framingham Risk Scoreの平均は、目に見える形で報告を受けた患者では12.9から12.2に低下し、対照患者では12.9から13.3に上昇した(統計学的に有意な群間差)。European Systematic Coronary Risk Evaluationスコアにも同様の傾向が認められた。介入の効果は、ベースラインの心血管リスクがもっとも高かった患者で最大であった。
CITATION(S)
Näslund U et al. Visualization of asymptomatic atherosclerotic disease for optimum cardiovascular prevention (VIPVIZA): A pragmatic, open-label, randomised controlled trial. Lancet 2018 Dec 3; [e-pub]. (https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)32818-6)
コメント
副次的アウトカムのデータは、目に見える形での報告が薬物治療と生活習慣の修正の両方を改善させ、医療提供者と患者の両方の行動に影響を及ぼしたことを示唆した。より長期の追跡調査と費用対効果のデータは後に発表されるであろう。頸動脈の画像検査は比較的費用がかからず利用しやすいが、米国では過剰治療に向かわせるインセンティブがあることを考慮すると、頸動脈の画像検査が広まった場合は、不要で、有害な可能性のある下流の手技がより活発に行われるようになるかもしれない。