急性一過性脳虚血発作または軽症脳梗塞に対する抗血小板薬2剤併用療法

Dual Antiplatelet Therapy for Acute Transient Ischemic Attack or Minor Stroke

メタアナリシスは、これらの患者へのaspirin+clopidogrelの処方に関する決定に影響を与えるデータを提供している。

POINT試験は2018年初期に公表され、高リスクの一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)または軽症脳梗塞の患者において、aspirin+clopidogrelはaspirin単独よりも利益があることを示した(NEJM Gen Med Jul 1 2018N Engl J Med 2018; 379:215)。POINT試験の知見をこの話題に関する以前のデータと調和させるために、研究者らは、そのような患者で発症後24時間以内に開始したaspirin+clopidogrelとaspirin単独とを比較した3件の試験のメタアナリシスを行った。3試験には患者10,447人が含まれた(平均年齢63~68歳)。患者は90日間追跡された。

解析は、aspirin+clopidogrelにより、aspirin単独と比較して、非致死的脳卒中の再発が30%相対的に減少し、1,000人に20人が絶対的利益を得たことを示した。非致死的な頭蓋外出血は、aspirin+clopidogrel群のほうがaspirin単独群よりも多かった。全死亡率は両群で同程度であった。aspirin+clopidogrelの臨床効果は早期に生じ、利益の大半が10日以内に認められ、21日を過ぎて利益が追加されることはほとんどなかった。

コメント

この3件の試験からのデータの解析は、TIAまたは軽症脳梗塞の患者における抗血小板薬2剤併用療法の早期使用に伴う利益とリスクの推定をさらに正確にしている。脳卒中減少の利益は、出血のリスクを明らかに上回るため、臨床家は、これらのイベントの発生から3週間後まで2剤併用療法を用いるプロトコールを採用するであろう。

CITATION(S)

Hao Q et al. Clopidogrel plus aspirin versus aspirin alone for acute minor ischaemic stroke or high risk transient ischaemic attack: Systematic review and meta-analysis. BMJ 2018 Dec 18; 363:k5108. (https://doi.org/10.1136/bmj.k5108)

Original Issue: Vol.39 No.3