96件の試験のメタアナリシスでは、利益は大きくなかった。
オピオイドの既知のリスクから、オピオイドが非がん性疼痛の緩和に有効かどうかに注目が集まっている。このメタアナリシスで研究者らは、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性疼痛の状態を評価したランダム化対照試験96件(患者総数26,000人)を同定した。モルヒネ当量の1日量の中央値は45 mgであり、追跡期間の中央値は60日であった。試験の大半は企業の資金提供を受けていた。
プラセボと比較して、オピオイドは統計学的に有意ではあるものの大きくはない疼痛緩和の利益をもたらし(10 cmの視覚アナログ尺度で平均0.79 cm)、追跡期間が3ヵ月以上の試験では差はさらに小さかった(0.69 cm)。いずれの結果も、事前に規定された最小重要差(minimally important difference:MID)である1 cmに満たなかった。同様に、身体機能についても、プラセボと比較して、有意ではあるものの最小限の利益がオピオイドに観察された(100ポイントの尺度で2ポイント;事前に規定されたMIDは5ポイント)。オピオイドは嘔吐、便秘、その他の副作用の過剰を伴った。オピオイドが非ステロイド抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)と比較された9試験のサブセットでは、疼痛の改善にも身体機能にも差は見出されなかった。
CITATION(S)
Busse JW et al. Opioids for chronic noncancer pain: A systematic review and meta-analysis. JAMA 2018 Dec 18; 320:2448. (https://doi.org/10.1001/jama.2018.18472)
Ashburn MA and Fleisher LA. Increasing evidence for the limited role of opioids to treat chronic noncancer pain. JAMA 2018 Dec 18; 320:2427. (https://doi.org/10.1001/jama.2018.19327)
コメント
エディトリアル執筆者らは、これらの試験では、嗜癖やメンタルヘルスの問題の既往がある患者は通常除外されていることから、これらの大きくはない結果でさえも、実際の診療で達成されうるものよりよいのであろうと指摘している。臨床家は非がん性疼痛患者に対して、控えめかつ慎重にオピオイドを用いるべきであるというエビデンスがますます強固になってきている。