がんの治療にビタミンD?

Vitamin D to Treat Cancer?

2件のランダム化試験で、ビタミンDは明らかには有益でなかった。

観察研究はビタミンD値がより良好ながんアウトカムと相関していることを示しており、細胞・分子の研究はビタミンDに抗がん作用があるかもしれないことを示唆している。今回2件の新たな試験で、研究者らはがん患者において、ビタミンDに治療効果があるかどうかを検討した。

日本の研究では、治癒切除となる可能性のある手術を受けた消化管癌患者417人が、ビタミンD3 2,000 IU/日またはプラセボにランダム化された。中央値で3.5年(最大7.5年)の追跡期間中、推定無再発生存率にも全生存率にも2群間で有意差は認められなかった。

米国の研究では、化学療法を受けた転移性大腸癌患者139人が、高用量(4,000 IU/日)のビタミンD3または「標準的な」低用量(400 IU/日)のビタミンD3にランダム化された。無増悪生存率と全生存率に2群間で有意差は認められなかった。

コメント

最近行われた大規模な一次予防試験のVITAL試験では、ビタミンD投与は中高年の成人における新たながんのリスクを低下させなかった(NEJM JW Gen Med Dec 15 2018N Engl J Med 2019; 380:33)。上に要約した新たな研究は、二次予防(治癒切除となる可能性のある手術後)と転移性がんの治療に相当する。これらの研究はすべて副次的アウトカム、サブグループ解析、統計的操作を提示しており、それらはさらに研究する価値があるかもしれない利益の可能性をほのめかしている。しかし現時点で、ビタミンDががんの予防または治療に有効であるという興味を引くエビデンスはない。

CITATION(S)

Urashima M et al. Effect of Vitamin D supplementation on relapse-free survival among patients with digestive tract cancers: The AMATERASU randomized clinical trial. JAMA 2019 Apr 9; 321:1361. (https://doi.org/10.1001/jama.2019.2210)

Ng K et al. Effect of high-dose vs standard-dose Vitamin D3 supplementation on progression-free survival among patients with advanced or Metastatic Colorectal Cancer: The SUNSHINE randomized clinical trial. JAMA 2019 Apr 9; 321:1370. (https://doi.org/10.1001/jama.2019.2402)

Original Issue: Vol.39 No.11