しかし、身体不活動は糖尿病と心血管疾患のリスクをもたらす。
身体不活動と認知症を関連付けたこれまでの研究には、追跡期間が短い(10年未満)という限界があることから、逆の因果関係のバイアスの可能性がある。つまり、身体活動は、認知症の前駆期(身体活動が一般的に減少する時期)に測定されているのかもしれない。コホート研究19件の405,000人(平均年齢46歳、ベースラインで認知症なし)の個々の患者データのメタアナリシスで、研究者らは、認知症発症の10年以上前から評価されたベースラインの身体不活動が、認知症、糖尿病、冠動脈疾患、脳卒中発症の過剰リスクを伴うかどうかを検討した。
平均で14.9年の追跡期間後、2,044例の認知症が生じた。追跡期間が10年未満の場合、身体活動が不活発な人のほうが活発な人よりも、あらゆる原因による認知症のリスクが40%高く、Alzheimer型認知症のリスクが36%高かった(多変数で補正)。追跡期間が10年以上の場合は、認知症のリスクに差は認められなかった。対照的に、追跡期間にかかわらず、身体不活動は糖尿病、冠動脈疾患、脳卒中の発症の有意に高いリスクを伴った。さらに身体活動の強度と、これら3つのアウトカムそれぞれとのあいだに逆の相関が認められた。
CITATION(S)
Kivimäki M et al. Physical inactivity, cardiometabolic disease, and risk of dementia: An individual-participant meta-analysis. BMJ 2019 Apr 17; 365:l1495. (https://doi.org/10.1136/bmj.l1495)
コメント
逆の因果関係のバイアスを最小限にしたこの研究の結果は、身体不活動を糖尿病、心疾患、脳卒中予防の標的とすることを支持しているが、認知症予防の標的とすることは支持していない。