糸球体濾過量の各推算式の高齢者における精度はどの程度?

How Do Equations for Estimating Glomerular Filtration Rates Perform in Older Adults?

4つの標準的な式による推算値は、イヌリンクリアランス値による結果と同程度である。

臨床検査室では、糸球体濾過量(glomerular filtration rate:GFR)を報告する際に推算式を用いるが、高齢者におけるこれらの式の精度は疑問視されてきた。横断的な後ろ向き研究で、フランスの研究者らが2003~17年にイヌリンクリアランス検査(GFR測定の参照基準)を受けた2,250人(平均年齢72歳)を同定した。イヌリンクリアランスの結果と、血漿クレアチニンに基づく次の4つの式によるGFR推算値が比較された:Chronic Kidney Disease–Epidemiology Collaboration(CKD-EPI、もっともよく使用されている式)、Full Age Spectrum(FAS)、Lund-Malmö Revised(LMR)、Berlin Initiative Study(BIS)。

イヌリンクリアランスによるGFR推算値の平均は、約45 mL/分/1.73 m2であった。4つの式はそれぞれ同程度の値を示した。いくつか統計学的有意差が認められたが、いずれも臨床的に重要ではなかった。たとえば、イヌリンクリアランスと比較してCKD-EPIはGFRを中央値で2.0 mL/分/1.73 m2過大評価し、LMRはGFRを同程度過小評価した。他のいずれの式もCKD-EPIより優れてはいなかった。

コメント

この研究で使用された4つのGFR推算式は、多様な患者集団(さまざまな国、年齢、腎機能レベル)で作成された。それにもかかわらず、それらはすべて、腎機能の高い・低いの両方に関して妥当に正確な推算値を示した。血清クレアチニン、年齢、性、人種からGFRを推算するCKD-EPIは、通常診療において他のいずれにも劣らない。

CITATION(S)

da Silva Selistre L et al. Diagnostic performance of creatinine-based equations for estimating glomerular filtration rate in adults 65 years and older. JAMA Intern Med 2019 Apr 29; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2019.0223)

Original Issue: Vol.39 No.11