1件の観察研究で、微小血管と心外膜冠動脈の機能障害が認められた。
心筋虚血を有する女性では、血管造影で閉塞性冠動脈疾患(coronary artery disease:CAD)が検出されないことが多いが、冠動脈の反応性の異常がみられることが多い。このような女性の長期の有害心血管アウトカムを理解するため、研究者らは、虚血の徴候・症状を有する女性224人(179人はCADを有しないか、ごく軽度)の微小血管と心外膜冠動脈の反応性を前向きに検討した。
微小血管機能障害は冠血流予備能(coronary flow reserve:CFR)と冠血流量(coronary blood flow:CBF)の測定によって評価し、心外膜冠動脈の反応性はアセチルコリンとニトログリセリンの冠動脈内投与に対する冠動脈拡張反応を測定することにより評価された。中央値で9.7年の追跡期間中、129件のイベント、すなわち主要有害心血管イベント(major adverse cardiovascular events:MACE;心血管死、心不全、心筋梗塞、脳卒中)、狭心症による入院、あらゆる原因による死亡、が発生した。心血管危険因子で補正後、CFR低値はMACEリスクと関連し(ハザード比[hazard ratio:HR]1.06)、CBF低値はMACEリスク(HR 1.11)、死亡リスク(HR 1.12)と関連した。アセチルコリンの冠動脈内投与の反応では、の心外膜冠動脈の内皮依存性反応の障害は、狭心症による入院の確率がより高いことと関連した(HR 1.05)。閉塞性CADを有しない女性でも結果は同様であった。
CITATION(S)
AlBadri A et al. Impact of abnormal coronary reactivity on long-term clinical outcomes in women. J Am Coll Cardiol 2019 Feb 19; 73:684. (https://doi.org/10.1016/j.jacc.2018.11.040)
コメント
虚血の徴候・症状を有する女性では、CFR低値に示される微小血管機能障害は、10年近い追跡後のMACEの過剰リスクを伴った。CBF低値に示される微小血管機能障害は、MACEのリスクと死亡率がより高いことを伴った。これらのデータは、心筋虚血が疑われる女性では、虚血の原因として、CADと冠動脈閉塞だけでなく、微小血管と心外膜の両方の冠動脈機能障害を念頭におくことの重要性を強調している。