脳内出血後の抗血小板療法?

Antiplatelet Drug Therapy After Intracerebral Hemorrhage?

1件のランダム化試験の結果によると、脳内出血後に抗血小板薬は安全に使用できる。

抗血栓薬を使用している患者は、ときに脳内出血(intracerebral hemorrhage:ICH)を発症する。そのとき臨床家は、1つの難問に直面する――患者に引き続き抗血栓薬の妥当な適応がある場合、最終的に抗血栓薬を再開すべきであろうか? この問題に取り組むため英国の研究者らは、閉塞性血管疾患予防のための抗血小板薬または抗凝固薬を服用中に特発性ICHを起こした成人537人を対象にランダム化試験を行った。患者の約4分の1には心房細動も認められた。抗血栓療法が中止された期間(平均で約2~3ヵ月)のあと、患者は抗血小板療法(aspirin、clopidogrel、dipyridamoleのいずれか)を開始したか、服用を避けるよう指示された。

中央値で2年の追跡期間中、脳内出血の再発率は抗血小板療法群のほうが対照群よりもわずかに低かった(4% 対 9%、P=0.06)。副次的エンドポイント(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、血管死の複合)の発生頻度は抗血小板療法群のほうが有意に低かった(17% 対 24%、P=0.03)。

コメント

この試験は、脳内出血エピソード後、臨床的に適応がある抗血小板療法を再開しても安全であることを示唆している。興味深いことに、ICHの再発率は、差は統計学的有意にはわずかに達しなかったものの、実際に抗血小板群のほうが対照群よりも低かった。しかし、この試験はいつ治療を再開するのが安全かを正確には示しておらず、また検討したのは抗血小板薬のみの使用であった(抗凝固薬を含まなかった)。

CITATION(S)

RESTART Collaboration. Effects of antiplatelet therapy after stroke due to intracerebral haemorrhage (RESTART): A randomised, open-label trial. Lancet 2019 May 22; [e-pub]. (https://doi.org/10.1016/S0140-6736(19)30840-2)

Ziai WC and Tsiskaridze A. Restarting antiplatelet therapy after intracerebral haemorrhage. Lancet 2019 May 22; [e-pub]. (https://doi.org/10.1016/S0140-6736(19)31094-3)

Original Issue: Vol.39 No.14