ビタミンDの補充は2型糖尿病を予防しない

Vitamin D Supplementation Doesn't Prevent Type 2 Diabetes

ビタミンD値がほぼ正常な前糖尿病成人では、補充は糖尿病への進展率に影響を及ぼさなかった。

ビタミンD低値は2型糖尿病発症の過剰リスクと関連づけられてきたが、因果関係を示す証拠は乏しい。以前、ノルウェーで約500人を対象に行われたランダム化試験と、日本で約1,200人を対象に行われたランダム化試験の2件では、ビタミンDの補充は前糖尿病から糖尿病への進展を予防しなかった(NEJM JW Gen Med Jun 1 2016Clin Endocrinol Metab 2016; 101:1647;Diabetes 2018; 67[Suppl 1]:LB34)。今回、これまででもっとも規模の大きい試験において、前糖尿病の米国成人約2,400人が連日のビタミンD3 4,000 IUまたはプラセボの投与を受けた。参加者はビタミンD値を問わず組み入れられ、ベースライン時の25-ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)値の平均は28 ng/mLであり、参加者の22%では20 ng/mL未満であった。

25(OH)D値の平均は、補充群では約50 ng/mLまで上昇し、プラセボ群では変化がなかった。追跡期間の中央値で2.5年の時点で、ビタミンD群とプラセボ群とのあいだで糖尿病発症率に有意差は認められなかった(100人年あたり9.4例 対 10.7例、P =0.12)。25(OH)D値が12 ng/mL未満の参加者では、ビタミンDは糖尿病発症率を低下させたようであるが、これは事後解析であり、103人しか対象としなかった。

コメント

ビタミンDの補充が2型糖尿病を予防するという、説得力のあるエビデンスは依然としてない。したがって、ビタミンD値が正常な前糖尿病患者に、この目的でのサプリメントは推奨されるべきではない。この研究は、重度の欠乏患者におけるビタミンDに抗糖尿病効果がある可能性を除外するものではないが、そのような患者は骨合併症を予防するために、いずれにせよ補充を受けるべきである。

CITATION(S)

Pittas AG et al. Vitamin D supplementation and prevention of type 2 diabetes. N Engl J Med 2019 Jun 7; [e-pub]. (https://doi.org/10.1056/NEJMoa1900906)

Wexler DJ. D2d — no defense against diabetes. N Engl J Med 2019 Jun 7; [e-pub]. (https://doi.org/10.1056/NEJMe1906815)

Original Issue: Vol.39 No.14