1件の小規模研究で、完全なアドヒアランスを主張する患者の29%は、治療を観察されると血圧が顕著に反応した。
高血圧治療におけるアドヒアランス不良を調査するため、カナダの研究者らは3種類以上の降圧薬投与を受けているにもかかわらず血圧が十分にコントロールされていない(24時間自由行動下血圧測定[ambulatory blood pressure monitoring:ABPM]で収縮期血圧の平均が135 mmHg以上)患者48人を募集した。すべての患者は、質問票、処方箋調剤記録、錠剤数の確認に基づく治療へのアドヒアランスが完全でなければならなかった。患者を、処方されたすべての降圧薬を投与した看護師が1日観察し、その後薬物治療の効果が最大になるまで血圧をモニターしたあと、24時間ABPMを行った。患者は1ヵ月後にも24時間ABPMを受けた。
48人中34人(71%)は治療が観察されたにもかかわらず収縮期血圧は実質的に変化しなかったが、残りの14人(29%)では高血圧は消失し、収縮期血圧は平均で26 mmHg低下していた。1ヵ月後、追跡しえた46人中14人(30%)で高血圧は消失していた。
CITATION(S)
Ruzicka M et al. Use of directly observed therapy to assess treatment adherence in patients with apparent treatment-resistant hypertension. JAMA Intern Med 2019 Jun 17; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2019.1455)
コメント
これらの結果のなかでも、とくに、直接質問し、実際の錠剤数を確認したにもかかわらず、4分の1以上の患者が最初はアドヒアランスが不良らしかったことは非常に興味深い。治療を観察したのは1日のみであったにもかかわらず1ヵ月後に反応が持続していたことの根拠として、これらの患者はアドヒアランス不良が暴露されたあとに行動を変容したこと、そしてその後治療に良好に反応したことが示唆される。このアプローチはさらなる調査に値する。