メタアナリシスによると、有害心血管イベントと死亡の過剰リスクを伴う。
白衣高血圧(white-coat hypertension:WCH;降圧薬の投与歴がない患者において、診療室で測定される血圧は高いが、診察室外での血圧は正常)が、正常血圧とは異なる臨床アウトカムを伴うかについて、研究から一貫した結果は得られていない。観察研究27件、患者65,000人のメタアナリシスで研究者らは、正常血圧患者、WCH患者、「白衣効果」(white-coat effect:WCE;降圧薬を服用中の患者において、診察室で測定される血圧は高いが、診察室外での血圧はコントロールされている)を認める患者を比較した。WCHとWCEは、自由行動下血圧測定または家庭血圧測定のいずれかで確認された。
正常血圧患者と比較して、WCH患者には有害心血管イベント(ハザード比[hazard ratio:HR]1.36]と全死因死亡(HR 1.33)の有意な過剰リスクが認められたが、脳卒中には認められなかった。WCEは、有害心血管イベント、脳卒中、早期死亡のいずれにも過剰なリスクをもたらさなかった。
CITATION(S)
Cohen JB et al. Cardiovascular events and mortality in white coat hypertension: A systematic review and meta-analysis. Ann Intern Med 2019 Jun 11; [e-pub]. (https://doi.org/10.7326/M19-0223)
Shimbo D and Muntner P. Should out-of-office monitoring be performed for detecting white coat hypertension? Ann Intern Med 2019 Jun 11; [e-pub]. (https://doi.org/10.7326/M19-1134)
コメント
この分析データに基づきエディトリアル執筆者は、WCHと関連する過剰リスクは、通常心血管リスクの高い高齢患者に認められることを指摘している。この結果は、低リスクの若年患者でWCHが疑われる場合や、治療中の患者でWCEが疑われる場合、臨床家は自由行動下血圧測定または家庭血圧測定を続けるべきであり、診察室外での測定で正常値である場合は降圧治療を行わないことを検討すべきであることを示唆している。有害心血管イベントのリスクが高い高齢患者でWCHが疑われる場合、WCHの経験的治療を行うのが妥当かもしれないが、そのアプローチの妥当性を確認するために、ランダム化試験が行われることが望ましい。