大部分の集中治療患者で、目標とする鎮静レベルを達成するため追加の鎮静薬が必要とされた。
dexmedetomidineは集中治療室において、浅い鎮静に用いることができるα作動薬である。以前の試験では、dexmedetomidineの投与を受けた患者では、受けなかった患者よりもベンゾジアゼピン系薬とpropofolの必要量が少なく、せん妄の発症率が低かった(NEJM JW Gen Med Oct 15 2016、Lancet 2016; 388:1893など)。dexmedetomidineの使用が増えるにつれ臨床家は、重篤患者に対して単独の鎮静薬として使用することができるのか、疑問に思い始めている。
8ヵ国の研究者らが、機械的換気を受けている患者4,000人を、第一選択鎮静薬としてdexmedetomidine投与を受ける群、または通常治療を受ける群にランダムに割り付けた。登録された患者の大部分は呼吸障害のため換気を受けており、4分の1は術後患者であった。大部分の患者は試験登録時には深い鎮静状態にあったが、目標は禁忌でない限り、浅い鎮静であった。
90日死亡率は2群で同程度であった。通常治療群と比較してdexmedetomidine群は、最初の28日間に機械的換気を受けない日が中央値で1日多く、昏睡・せん妄のない日が1日多かった。浅い鎮静のレベルが達成される割合はdexmedetomidine群のほうがわずかに高かったが、dexmedetomidine群の患者の4分の3は追加のpropofolまたはmidazolam、あるいはその両方を必要とした。有害事象は、もっとも多かったのは徐脈と血圧低下であり、dexmedetomidine群でより頻度が高かった。
CITATION(S)
Shehabi Y et al. Early sedation with dexmedetomidine in critically ill patients. N Engl J Med 2019 May 19; [e-pub]. (https://doi.org/10.1056/NEJMoa1904710)
コメント
dexmedetomidineは、機械的換気で呼吸の補助を受けている患者に、単独の鎮静薬として投与しても効果はない。以前の研究でみられたように、dexmedetomidineは他の薬物の使用を確かに減らしたため、より深い鎮静とせん妄を回避するのに役立ったのかもしれない。dexmedetomidineを補助薬として使用することは理にかなっているが、すでに血圧低下または徐脈をきたしている患者では注意が払われるべきである。