もっとも頻度の高かった消化管の有害事象は腸管虚血または腸管血栓症であったが、その絶対発生率は低かった。
ポリスチレンスルホン酸ナトリウムは、そのナトリウムと消化管腔内のカリウムを交換する樹脂である。高カリウム血症患者の治療に処方されるが、消化管損傷との関連が示唆されている。カナダの後ろ向きコホート研究で研究者らは、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの外来処方をはじめて受けた患者約20,000人(平均年齢79歳)を同定した。腎臓、心臓、薬物療法の多数の因子に基づく傾向(propensity)スコアによるマッチング法を用いて、同数の非使用者が選択された。大部分の患者が高カリウム血症引き起こす可能性のある降圧薬と利尿薬を使用していた。
消化管有害事象の複合指標は、腸管虚血・腸管血栓症、消化管潰瘍・消化管穿孔、あらゆる種類の消化管切除術・消化管吻合術に関する救急診療部または病院の報告などであった。30日の追跡期間中、そのようなイベントは使用者群で37件、非使用者群で18件発生し、その差は有意であった。
CITATION(S)
Noel JA et al. Risk of hospitalization for serious adverse gastrointestinal events associated with sodium polystyrene sulfonate use in patients of advanced age. JAMA Intern Med 2019 Jun 10; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2019.0631)
Parks M and Grady D. Sodium polystyrene sulfonate for hyperkalemia. JAMA Intern Med 2019 Jun 10; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2019.1291)
コメント
このコホート研究は、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムに伴う、頻度は低いが重篤な消化管損傷を示す症例報告をさらに支持するものである。高齢者への使用は、可能な限り最小限にするのが賢明なようである。さらに、高リスク患者には、カリウム保持性利尿薬の慎重な使用と食事中のカリウム制限を行うことで、重度の高カリウム血症のリスクを低下させる可能性があり、また、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを使用する必要性も低下させる可能性がある。