大部分のビタミンB12注射は、欠乏が確認されていない患者に行われていた。
複数の研究がビタミンB12の経口補充は全般的に、悪性貧血患者においてさえ血清B12値の正常化に非経口投与と同程度に有効であることを示しているにもかかわらず、ビタミンB12注射は広く行われ続けている。この後ろ向き研究で研究者らは、カナダOntario州の医療システムの請求・管理データベースを用いて、2011~15年にビタミンB12の筋肉内注射を受けた高齢者(年齢65歳以上)147,000人、合計405,000件の注射を同定した。
初回のビタミンB12注射を受ける前の1年間、患者の25%では血清ビタミンB12値が正常であることが確認されており、38%ではビタミンB12値が一切記録されていなかった。全体で注射の3分の2近くが不適切とみなされた。ビタミンB12の非経口投与を正当化しうる消化管吸収不良を引き起こす疾患(Crohn病など)の証拠があったのはわずか2,500人(1.7%)であった。
CITATION(S)
Silverstein WK et al. Prevalence of inappropriateness of parenteral vitamin B12 administration in Ontario, Canada. JAMA Intern Med 2019 Jul 15; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2019.1859)
コメント
この研究は管理データを後ろ向きに解析したものであるため、その知見の理由を説明するには限界がある。それでも、ビタミンB12注射の確認された理由がないことは、カナダで不必要なビタミンB12注射が一般的に処方されていることを示唆しており、私は米国での診療も同様ではないかと思う。