この研究では答えはノーであった。
多くの研究が、集中治療室(intensive care unit:ICU)滞在後の患者とその家族における不安と抑うつを示してきた。また、患者はICU滞在中の記憶が不完全で混乱させるものであったと報告することが多い。フランスの研究者らは、ICUの臨床家と家族がICUで患者が過ごした時間に関する詳細を記入した日記が、この苦痛のいくらかを解消するのに役立つかもしれないという仮説を立てた。
研究者らは、機械換気を受けている患者657人を、ICU日記を使用する群と使用しない群にランダムに割り付けた。介入群では、臨床家と家族が定期的に日記に記入した。生存した患者全員について、ICU退室日にICUの臨床家によってサマリーメモが書かれ、患者は日記を自宅に持ち帰った。死亡した患者には、お悔やみ状が日記とともに家族に送られた。
患者339人と家族563人に3ヵ月間の追跡調査が行われた。患者の約3分の1には、ICUにいた記憶がなかった。患者は日記を中央値で3回読んだと回答した。心的外傷後ストレス障害の症状を回答した患者の割合と、家族の心理的症状に群間で差は認められなかった。不安の負荷は、患者(約30%)も家族(50%近く)も高かった。
CITATION(S)
Garrouste-Orgeas M et al. Effect of an ICU diary on posttraumatic stress disorder symptoms among patients receiving mechanical ventilation: A randomized clinical trial. JAMA 2019 Jul 16; 322:229. (https://doi.org/10.1001/jama.2019.9058)
コメント
ICU日記を書くことには他の利益があるかもしれないが、その使用が不安、抑うつ、心的外傷後ストレスの症状を緩和することはないようである。