内側コンパートメントの関節症を有する選択された患者では、人工膝関節部分置換術は膝関節全置換術との比較で好ましいものであった。
単一のコンパートメント(内側脛骨-大腿骨、外側脛骨-大腿骨、膝蓋骨-大腿骨)に限局した進行した変形性膝関節症がある患者は、人工膝関節部分置換術(partial knee arthroplasty:PKA、人工膝単顆置換術[unicompartmental knee arthroplasty:UKA]ともいう)または人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)の候補になりうる。しかし観察データは、PKAを受ける患者はTKAを受ける患者より早期再置換のリスクが高いことを示唆している(NEJM JW Gen Med May 1 2019、BMJ 2019; 364:352)。英国で行われた試験で、標準的な基準に基づきPKAに適しているとみなされた、内側コンパートメントのみに変形性関節症を有する患者528人が、PKAかTKAにランダムに割り付けられた。
5年の時点で、標準化された膝関節スコア(機能と疼痛を評価)は2群で同程度であったが、「再びこの手技を受けることを選ぶ」と回答した割合はPKA患者のほうが高かった(91% 対 84%、P=0.01)。範疇を幅広く定義された合併症は、TKAのほうがPKAより頻繁に生じたが(27% 対 20%、P=0.04)、再手術数は2群で同程度であった。PKAはTKAより費用効果が高かった。
CITATION(S)
Beard DJ et al. The clinical and cost-effectiveness of total versus partial knee replacement in patients with medial compartment osteoarthritis (TOPKAT): 5-year outcomes of a randomised controlled trial. Lancet 2019 Jul 17; [e-pub]. (https://doi.org/10.1016/S0140-6736(19)31281-4)
Evans JT and Whitehouse MR. Partial versus total knee replacement for knee osteoarthritis. Lancet 2019 Jul 17; [e-pub]. (https://doi.org/10.1016/S0140-6736(19)31612-5)
コメント
プライマリケア医は、適切な専門的知識・技能をもつ整形外科医がいるなら、PKAは適切に選択された患者で選択肢の一つになることを知っておくべきである。しかし膝関節置換術によって長期利益が得られることが期待されていることを考慮すれば、5年の追跡期間はこの報告の限界となっている。この研究では10年間の追跡調査が計画されている。