進行していない腺腫や小さい鋸歯状ポリープに関連する大腸癌リスクは、ポリープがない場合と異ならない。
大腸癌のサーベイランスのための大腸内視鏡検査は、ベースラインの検査でもっとも進行していた病変によって決定される間隔で推奨されている。国際専門家組織のガイドラインは概して高リスクのポリープのサーベイランスに関しては一致しているが、進行していない腺腫(nonadvanced adenoma)と鋸歯状ポリープに関しては、一部にはエビデンスが少ないため、異なっている。
ポリープのサブタイプに従って大腸癌リスクを評価するために、研究者らは1989~2013年に軟性S状結腸鏡検査または大腸内視鏡検査を受けた患者約123,000人の後ろ向きコホート研究を行った。中央値で10年の追跡時点で、さまざまな腺腫サブタイプに関連する大腸癌リスクはポリープがなかった場合と比較して以下のとおりであった:
- なんらかの腺腫:調整ハザード比(adjusted hazard ratio:aHR)2.6、P<0.001
- 進行した腺腫(10 mm以上、高度の異形成または絨毛腺腫の組織像):aHR 4.1、P<0.001
- 非進行腺腫:aHR 1.2、P=0.52
- なんらかの鋸歯状ポリープ:aHR 1.5、P=0.05
- 大きい鋸歯状ポリープ(10 mm以上):aHR 3.4、P=0.008
- 小さい鋸歯状ポリープ(10 mm未満):aHR 1.2、P=0.38
CITATION(S)
He X et al. Long-term risk of colorectal cancer after removal of conventional adenomas and serrated polyps. Gastroenterology 2019 Jul 11; [e-pub]. (https://doi.org/10.1053/j.gastro.2019.06.039)
コメント
高リスクのポリープをより集中的にサーベイランスする必要性については議論はなく、これらの結果は現在のガイドラインの推奨を再確認している。しかし、この研究において注目に値する知見は、それらよりずっと多い進行していない腺腫と小さい鋸歯状ポリープに関するものであり、これらの大腸癌リスクはベースライン時にポリープがないことと有意には異ならなかった。ベースラインの大腸内視鏡検査の質が高かったと仮定すると、これらのデータは、低リスクの腺腫または小さい鋸歯状ポリープを有する平均リスクの患者ではサーベイランスの間隔を10年にまで延長することを支持している。