周期性嘔吐症候群患者では大麻の使用が多くみられる

Cannabis Use Is Common in Patients with Cyclic Vomiting Syndrome

大麻を使用している周期性嘔吐症候群患者では、大麻を断つことによって症状が消失することはまれである。

大麻と嘔吐の相互作用は複雑である。大麻は、がんやその他の嘔吐を起こす障害を有する患者の制吐薬として長いあいだ効果的に使用されてきた。しかし逆説的に、大麻の使用者は、大麻嘔吐症候群(cannabis hyperemesis syndrome:CHS)を発症することがあり、これは間欠的な嘔吐が大麻の定期的な使用に関連して生じるものである。この対立する二つは、大麻をその時点で継続して使用しており、嘔吐で受診した患者を診断する場合に、医療提供者に難問を突き付ける。そのような患者は、より正常な期間に、重度の悪心・嘔吐の発作が起こる期間が散在することを特徴とする、周期性嘔吐症候群(cyclic vomiting syndrome:CVS)であるかもしれない。あるいはCHSであるかもしれず、CHSであれば、大麻の使用を断っているあいだは症状が消失するはずである。

今回研究者らは、患者がCVSであるかを明らかにし、またCVS患者をCHSと再分類されるべきかどうかを明らかにするため、単一施設で横断的研究を行った。CVS患者140人のうち41%は大麻使用者であり、その半数は頻繁に使用していた(週4回超)。使用者の大部分は、大麻による症状の改善を報告した。患者の大多数は大麻を断った期間があると報告したが、大麻の使用を中止した後にCVSが消失したと報告したのは1人のみであった。しかし、この患者は大麻の使用を再開したが、症状がないままであった。したがって、この研究のCVS患者で、CHSを有すると再分類された者はいなかった。

コメント

われわれは、嘔吐があり、大麻を使用する患者であればCHSと診断したくなるかもしれないが、これらのデータは、その想定に異議を唱えている。患者に短期間大麻を断つよう求め、その後症状が消失または改善した場合にCHSと診断するのが依然として理にかなっている。私の経験では、大麻の使用を中止すると寛解する患者もいるが、多くの患者はそうではない。

CITATION(S)

Venkatesan T et al. Patterns of cannabis use in patients with cyclic vomiting syndrome. Clin Gastroenterol Hepatol 2019 Jul 25; [e-pub]. (https://doi.org/10.1016/j.cgh.2019.07.039)

Original Issue: Vol.39 No.18