軽喫煙者の心血管疾患リスクは禁煙した場合5年以内にベースラインまで低下する

Cardiovascular Disease Risk for Light Smokers Who Quit Declines to Baseline Within 5 Years

しかし、重喫煙者の心血管疾患リスクは、禁煙後15年まで喫煙未経験者のベースラインレベルに戻らなかった。

心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)リスクが禁煙後どの程度の早さで低下するかの推定にはばらつきがある。この研究で研究者らは、地域住民に基づく心疾患の長期研究で、ベースラインの時点で既知のCVDを有しない参加者8,770人(研究登録時の平均年齢42歳)のCVDリスク低下を評価した。5,300人を超える参加者が喫煙経験者であった(ベースラインの時点で喫煙歴は中央値で17 pack-years)。このうち2,400人近くが現在または過去の重喫煙者(20 pack-years以上と定義)に分類された。

中央値で26年の追跡期間中、参加者の28%がCVDイベント(心筋梗塞、脳卒中、心不全、心血管関連死)を経験した。現喫煙者は、喫煙未経験者と比較して有意に多くCVDイベントを経験した(1,000人年あたり11.1件 対 6.5件)。さまざまな人口統計学的因子と臨床的因子で調整した解析では、過去の軽喫煙者(喫煙歴20 pack-years未満)のCVD発症率は、5年までに喫煙未経験者のベースラインレベルまで低下したが、過去の重喫煙者のCVD発症率は、禁煙後約15年まで喫煙未経験者のベースラインレベルに達しなかった。

コメント

これらの結果は、禁煙しようと考えている患者に有用な情報を提供するものである。軽喫煙者のリスクは約5年でベースラインレベルに戻るが、重喫煙者のリスクは、15年ものあいだ喫煙未経験者のベースラインレベルには戻らない。

CITATION(S)

Duncan MS et al. Association of smoking cessation with subsequent risk of cardiovascular disease. JAMA 2019 Aug 20; 322:642. (https://doi.org/10.1001/jama.2019.10298)

Original Issue: Vol.39 No.18