1件の系統的レビューは、焦点を絞った心臓超音波検査が、左室機能障害の検出感度を向上させることを示している。
技術的な進歩と費用の低下が、携帯型超音波検査(hand-held ultrasonography:HHU)の急速な成長を支えてきた。エビデンスは、身体診察の延長としての補助的な超音波検査が、ベッドサイドでの診断精度を高めることを示唆している。しかしこの利益は、焦点を絞った心臓超音波検査(focused cardiac ultrasonography:FoCUS)に当てはまるであろうか?
研究者らは、成人入院患者の左室機能障害と弁疾患の評価におけるFoCUSの精度を、身体診察のみを行う場合と比較した単一施設の前向きコホート研究9件(患者1,100人超、平均年齢64歳)を解析した。正式な心エコーの訓練を受けた専門家によってFoCUSが行われた研究もあれば、限られた訓練しか受けていない研修医によってFoCUSが行われた研究もあった。認定心エコー検査技師によって行われた完全な標準経胸壁心エコー検査が、参照基準とされた。身体診察のみを行う場合と比較して、身体診察の一環としてHHUを組み入れた場合、左室機能障害の検出感度(43% 対 84%)と、中等度の大動脈弁疾患または僧帽弁疾患の検出感度(46% 対 71%)は有意に上昇し、特異度に有意な向上はみられなかった。研修医と比較して、専門家の診断精度は高かった。
CITATION(S)
Marbach JA et al. Comparative accuracy of focused cardiac ultrasonography and clinical examination for left ventricular dysfunction and valvular heart disease: A systematic review and meta-analysis. Ann Intern Med 2019 Aug 20; [e-pub]. (https://doi.org/10.7326/M19-1337)
Flint N and Siegel RJ. Yes we (s)can! Ann Intern Med 2019 Aug 20; [e-pub]. (https://doi.org/10.7326/M19-1918)
コメント
この解析は、FoCUSが臨床家の診断能力を高めるという現在のエビデンスを強化するものである。まだ正確にわかっていないことは、FoCUSが患者アウトカムを変えるかどうか、である。いずれにせよ、臨床的な管理に即時に影響する能力を考慮すると、HHUの使用が引き続き急速に増加することは必然である。訓練のレベルと技能がHHUの正確性に影響を及ぼすため、臨床指導者は、HHUに関する適切な教育、訓練、コンピテンスを確保することに焦点を絞り、研修プログラムにHHUを正式に組み入れることを提唱すべきである。