ticagrelorとaspirinの併用は有効性の点でaspirin単独よりもわずかに優位であるが、それは有害事象のリスクがわずかに高いことで相殺される。
心血管疾患の二次予防は、依然として強い関心が寄せられている領域である。企業の支援を受けた1件のランダム化プラセボ対照試験で研究者らは、安定冠動脈疾患と2型糖尿病を有する患者19,271人(50歳以上)において、aspirinにticagrelor(Brilinta)を追加した場合の有効性を調査した。患者には心筋梗塞、脳卒中の既往がなく、全員がaspirinを服用していた。追跡期間の中央値は39.9ヵ月であった。
中止はticagrelor群のほうが多かった(34.5% 対 25.4%)。主要複合アウトカム(心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中)は、ticagrelor群で7.7%に発生したのに対し、プラセボ群では8.5%に発生した。36ヵ月の時点での発生率の推定値は6.9%と7.6%(ハザード比[hazard ratio:HR]0.90、95%信頼区間0.81~0.99)であった。ticagrelorの優越性は、主に心筋梗塞と脳卒中が少ないことによるものであった。全死因死亡率は同程度であった(ticagrelor群6.0%、プラセボ群6.2%)。大出血はticagrelor群のほうが有意に多かった(2.2% 対 1.0%、HR 2.3)。頭蓋内出血はまれであったが、ticagrelor群のほうが有意に多かった(0.7% 対 0.5%)。
CITATION(S)
Steg PG et al. Ticagrelor in patients with stable coronary disease and diabetes. N Engl J Med 2019 Sep 1; [e-pub]. (https://doi.org/10.1056/NEJMoa1908077)
コメント
著者らは、「この試験集団において、ticagrelor療法のリスク-利益比は良好ではない」と結論づけた。私はそれがすべてを物語っていると思う。ほんのわずかな利益は従来の有意水準をかろうじて超えているだけで、リスク(とくに出血)は逆方向にわずかに大きかった。この結果は、残念なことに、リスクを低減するための新たなストラテジーを支持することはできなかった。