後ろ向きの症例対照研究では、手術患者は8年の時点での全死因死亡率も低かった。
metabolic surgery(体重減少を導き、消化管およびグルコースの生理を変える手術)は糖尿病の管理を改善するが、有害心血管イベントリスクの変化に関するデータはほとんどない。Cleveland Clinicの研究者らは、metabolic surgery(ほぼすべてがRoux-en-Y胃バイパスか袖状胃切除術)を受けた2型糖尿病患者2,287人を同定し、metabolic surgeryを受けなかった患者11,435人と37の変数についてマッチさせた。患者の3分の2は女性で、年齢の中央値は54歳、体格指数(body-mass index)の中央値は約44 kg/m2であった。
追跡期間は中央値で4年であったが、研究者らは8年間の推定アウトカムを算出した。8年間の主要有害事象(全死因死亡、冠動脈イベント、脳血管イベント、心不全、腎障害、心房細動)の累積発生率は、手術群のほうが非手術群よりも有意に低かった(31% 対 48%)。全死因死亡のみの解析を含むさまざまな副次評価項目の解析で同様の差が示された。手術患者のおよそ7%が術後90日以内に輸血や肺イベントを含む合併症を経験し、25%がさまざまな術後内視鏡検査や画像検査を必要とした。
CITATION(S)
Aminian A et al. Association of metabolic surgery with major adverse cardiovascular outcomes in patients with type 2 diabetes and obesity. JAMA 2019 Sep 2; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jama.2019.14231)
コメント
後ろ向きコホート研究にはバイアスが内在する可能性があるが、適切な統計的補正を用いたこの大規模な、よくマッチさせた研究では、主要有害心血管イベントと全死因死亡のリスク低下に関して、metabolic surgeryの明らかな利益を示している。それと引き換えの術後早期・中期の合併症の発症率は、わずかなものではない。