データは、非アルコール性脂肪性肝炎を有する2型糖尿病患者におけるビタミンEのルーティンの使用を支持していない。
ビタミンEは、非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)を有する非糖尿病患者の治療でいくらかの利益を示しているが、2型糖尿病を有するNASH患者に関するデータはほとんどない。またエビデンスは、NASH患者では2型糖尿病が肝硬変と肝細胞癌のリスクを追加することを示唆している(NEJM JW Gastroenterol Jul 2019、Clin Gastroenterol Hepatol 2019 Apr 19 [e-pub])。この二重盲検研究でVeterans Affairsの研究者らは、NASHと2型糖尿病を有する患者105人で、ビタミンEの単独投与またはpioglitazoneとの併用の安全性と有効性を評価した。患者は18ヵ月間のビタミンE(400 IUを1日2回)投与群、ビタミンE+pioglitazone(1日30 mgから開始し1日45 mgまで漸増)併用群、プラセボ投与群に均等にランダムに割り付けられた。
主要エンドポイント(線維化の悪化がなく、非アルコール性脂肪性肝疾患の活動性スコアが2点以上低下)は、併用療法群ではプラセボ群よりも有意に多く達成され(54% 対 19%)、ビタミンE単独は、プラセボよりも有意には優れていなかった(31%と19%、P=0.26)。いずれの群でも線維化に有意な改善は認められなかった。
CITATION(S)
Bril F et al. Role of vitamin E for nonalcoholic steatohepatitis in patients with type 2 diabetes: A randomized controlled trial. Diabetes Care 2019 Aug; 42:1481. (https://doi.org/10.2337/dc19-0167)
コメント
この概念実証研究で、ビタミンEのみでは2型糖尿病患者のNASHの改善に有効ではなかった。pioglitazoneとビタミンEの併用はNASHを有意に改善したものの、著者らは、この効果はこの集団を対象としたpioglitazone単剤療法で以前に報告された知見と同様であったことを指摘し、ビタミンEの無効性をさらに示している。これらのデータと、いくつかの安全性の懸念に基づくと、ビタミンEはこの集団でルーティンに使用されるべきではない。