ビタミンD補充は短期の全死因死亡率を低下させなかった

Vitamin D Supplementation Didn't Lower Short-Term All-Cause Mortality

しかし、ビタミンD3の補充はがん関連死のリスクが低いことと関連した。

いくつかのメタアナリシスが、とくに高齢者において、ビタミンD補充は短期死亡率を低下させることを示唆している。この新たなメタアナリシスで研究者らは、最近発表された試験を組み入れ、これまでの分析のいくつかの限界に対処した。

75,000人を超える参加者を含む52件の試験(年齢中央値74歳、女性約71%、追跡期間の中央値1.2年)が組み入れられた。ほとんどの試験で、ビタミンD補充はプラセボまたは治療なしと比較された。他の物質(たとえばカルシウム)が投与された場合は、それらはすべての群に同じ用量で投与された。ビタミンD補充は、早期の全死因死亡、心血管関連死、非がん関連・非心血管関連の死亡を予防しなかった。しかしビタミンD補充は、がん関連死のリスクを有意に低下させ(リスク比0.84、絶対差では1,000人あたり死亡が約4件減少)、この利益はビタミンD3の補充を受けた参加者のみで認められた(ビタミンD2では認められなかった)。ビタミンD3のサブ解析では、全死因死亡に有意差に近い差が認められた。

コメント

この系統的レビューで、ビタミンD補充は全死因死亡、心血管関連死、非がん関連・非心血管関連の死亡の短期リスクを低下させなかった。しかし、がん関連死のリスクはビタミンD3の補充によって有意に低下した。著者らはビタミンD3補充について、より長期の試験の必要性を訴えている。しかし留意すべきは、最近発表されたVITAL試験(参加者約26,000人が中央値で5.3年間追跡された、これまでで最長かつ最大規模のビタミンD3の試験)では、全死因死亡率、がん特異的死亡率、浸潤がんの発生率に有意差が認められなかったことである(NEJM JW Gen Med Dec 15 2018N Engl J Med 2019; 380:33)。VITAL試験はこのメタアナリシスに含められた。

CITATION(S)

Zhang Y et al. Association between vitamin D supplementation and mortality: Systematic review and meta-analysis. BMJ 2019 Aug 12; 366:l4673. (https://doi.org/10.1136/bmj.l4673)

Original Issue: Vol.39 No.19