haloperidolもziprasidoneも、認知、機能、QOL、心理のアウトカムに有意な影響を及ぼさなかった。
重篤患者のせん妄は長期的な認知障害および能力障害を伴う。過去の1件のランダム化試験(MIND-USA試験)では、米国の病院16施設におけるせん妄を有する重篤患者566人が、haloperidol、ziprasidone、プラセボのいずれかの投与を14日間受けた。haloperidolもziprasidoneも、せん妄の持続期間やその他の院内アウトカムに影響を及ぼさなかった(NEJM JW Gen Med Dec 1 2018、N Engl J Med 2018; 379:2506)。今回、MIND-USA試験の研究者らは、長期的な認知、機能、心理、quality of lifeのアウトカムを報告している。
3ヵ月および12ヵ月の時点の生存は、3つの投与群で同程度であった。妥当性が確認されている電話調査は、3ヵ月および12ヵ月の両方の時点で生存者の約3分の1に認知障害が認められることを示した。いずれの群でも、半数を超える生存者が、認知的または身体的な制限のために仕事に復帰できていなかった。測定した長期アウトカムのいずれも群間での有意差はなかった。
CITATION(S)
Mart MF et al. Long-term outcomes after treatment of delirium during critical illness with antipsychotics (MIND-USA): A randomised, placebocontrolled, phase 3 trial. Lancet Respir Med 2024 Aug; 12:599. (https://doi.org/10.1016/S2213-2600(24)00077-8)
コメント
これらの結果は、抗精神病薬は重篤患者のせん妄を管理するためにルーティンで使用されるべきではないことを示す、増加しつつある文献に加わるものである。アウトカムは、短期的にも長期的にも改善しない。急性の興奮状態が患者にリスクをもたらす場合、このような興奮状態を薬物により管理することは依然として理にかなっているが、臨床家は、退院時の抗精神病薬の不適切な継続にとくに留意すべきである。