大腸癌スクリーニングによく用いられる免疫便潜血検査は同等か?

Are Commonly Used Fecal Immunochemical Tests for Colorectal Cancer Screening Created Equal?

答えは「いいえ」である。検査性能には大きなばらつきがある。

米国ではおのおの独自の免疫便潜血検査(fecal immunochemical test:FIT)が複数利用可能であるが、検査の特性に関する比較データは不足している。研究者らは前向き横断研究を実施し、スクリーニングまたはサーベイランスのための大腸内視鏡検査が予定されている中高年患者(年齢範囲50~85歳)において、よく用いられる5つのFITの性能を調査した。

約3,800人の患者が、大腸内視鏡検査を受ける数日前に、同じ便検体を用いて5つのFITを実施した。4つのFITは定性的であり、1つは定量的(ヘモグロビンが100 ng/mLを超えた場合に陽性と報告された)であった。結果は以下のとおりであった:

  • 大腸内視鏡検査による決定に基づくと、進行大腸腫瘍(advanced colorectal neoplasia:ACN;進行ポリープまたは大腸癌)の有病率は9%であり、このうち患者9人は大腸癌を有していた。
  • 陽性率は5つのFITで4%から16%と幅があった。
  • ACNに対するFITの感度は11%から37%、特異度は86%から97%であった。
  • 陽性適中率は18%から29%であったのに対し、陰性適中率は5つのFITすべてで約93%であった。

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この研究は、FITのばらつきが有意なものであることを明らかにし、スクリーニング検査における感度と特異度とのあいだの通常の得失(trade-off)を強調するものである。感度が高い検査ほど特異度は低かった。感度の低さに驚いたのであれば、進行腫瘍の累積検出率はその後引き続いて受ける検査で上昇することを念頭に置かなければならない。これらの知見を臨床診療で利用する一つの方法は、検査で陽性になる確率を患者と共有することである。たとえば陽性率が4%のFITでは、その後大腸内視鏡検査を受けるよう助言される確率は25分の1であると患者に助言できる。

CITATION(S)

Levy BT et al. Comparative performance of common fecal immunochemical tests: A cross-sectional study. Ann Intern Med 2024 Sep 3; [e-pub]. (https://doi.org/10.7326/M24-0080)

Original Issue: Vol.44 No.20