長期酸素療法:1日24時間のほうが15時間よりも良いか?

Long-Term Oxygen Therapy: Is 24 Hours a Day Better Than 15?

重度の安静時低酸素血症患者に対する酸素療法に関する1件のランダム化試験によると、そうではない。

現在のガイドラインは、慢性肺疾患があり重度の低酸素血症を有する患者に対して、15時間以上の長期酸素療法を推奨し(NEJM JW Gen Med Feb 15 2021Am J Respir Crit Care Med 2020; 202:e121)、酸素療法を24時間に延長することを提案している(Thorax 2015; 70 [Suppl 1]:i1)。

酸素療法を1日あたり9時間延長することが臨床的利益をもたらすかどうかを明らかにするため、スウェーデンの研究者らは、重度の低酸素血症(室内気呼吸下でPaO2 55 mmHg未満またはSpO2 88%未満、もしくはPaO2 60 mmHg未満に加えて心不全の徴候または赤血球増加症[ヘマトクリット0.54超])を有する患者241人(平均年齢77歳)で、24時間と15時間の酸素療法を比較するランダム化試験を実施した。適応症としてもっとも多かったのは慢性閉塞性肺疾患であった(60%超)。15時間群は、夜間の睡眠中に酸素療法を使用し、日中に合計で9時間酸素療法を使用しないよう指示された。治療および追跡調査の遵守率は良好であった。

主要複合アウトカム(1年以内の入院または全死因死亡)の発生率は2群で同じであり、64%であった。追加データは、患者の回答した息切れ、疲労、ウェルビーイング(Well-being)に関する指標などの、副次アウトカムに有意差はないことを示した。

コメント

これらの知見は、明確なメッセージを提供するものである:酸素療法を1日24時間に延長することは、15時間レジメンと比較して生存または入院に関する利益をもたらさない。これらの結果は、移動や運動の制限、社会的な隔離などの24時間酸素療法の負担は正当化されるものでないと、長期酸素療法の処方者とその患者を安心させるものである。

CITATION(S)

Ekström M et al. Long-term oxygen therapy for 24 or 15 hours per day in severe hypoxemia. N Engl J Med 2024 Sep 19; 391:977. (https://doi.org/10.1056/NEJMoa2402638)

Original Issue: Vol.44 No.21