難治性うつ病に対する反復経頭蓋磁気刺激療法

Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation for Refractory Depression

反復経頭蓋磁気刺激療法による抗うつ薬の強化は、薬物による強化と同等かもしれず、別の抗うつ薬単剤への切り替えよりも優れている。

反復経頭蓋磁気刺激療法(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)は、最初の抗うつ薬治療に反応しないうつ病患者に有効かもしれない。今回の2件のランダム化試験で研究者らは、2種類の抗うつ薬に対して反応を示さなかった患者におけるrTMSの有効性を、従来どおりの次の段階の介入と比較検討した。

1件の研究では、2種類以上の抗うつ薬に反応しなかった患者89人が、別の抗うつ薬に切り替えるか、(現在使用している抗うつ薬に追加して)8週間に25回のrTMSセッションを受けた。両群とも精神療法も受けた。うつ病が反応または寛解した患者の割合は、rTMSのほうが切り替えよりも高かった(反応率38% 対 15%、寛解率27% 対 5%)。rTMSを受けた患者では、不安および楽しみの喪失の改善もより大きかった。

もう1件の研究では、患者約300人が、venlafaxineまたはduloxetineへの切り替え、aripiprazoleによる現在使用している抗うつ薬の強化、rTMS(8週間で約30セッション)による現在使用している抗うつ薬の強化の3群のいずれかに割り付けられた。うつ症状スコアの変化に基づくと、どちらの強化ストラテジーも抗うつ薬の切り替えより優れていたが、互いに差はなかった。

コメント

抗うつ薬の1回の切り替えが無効だった後に再度切り替えることが有効であることはまれである。精神科医にとって通常の「頼りにする」ストラテジーは薬物による抗うつ薬の強化である(第二世代抗精神病薬の併用など)。今回の研究は、rTMSによる抗うつ薬の強化は同等に有効な選択肢として考慮されるべきであることを示唆している。rTMSは、ますます利用可能になり、保険機関にカバーされるようになっており、薬物による強化よりも副作用が少ない(副作用はプライマリケアの場では管理が困難となりうる)。しかし、rTMSには週5回の治療が4~6週間必要であり、一部の患者ではその利益を維持するために維持療法(例:2~4週ごとにrTMSのセッションを実施)が必要となるかもしれない。

CITATION(S)

Dalhuisen I et al. rTMS as a next step in antidepressant nonresponders: A randomized comparison with current antidepressant treatment approaches. Am J Psychiatry 2024 Sep; 181:806. (https://doi.org/10.1176/appi.ajp.20230556)

Papakostas GI et al. Comparative effectiveness research trial for antidepressant incomplete and non-responders with treatment resistant depression (ASCERTAIN-TRD) a randomized clinical trial. Mol Psychiatry 2024 Aug; 29:2287. (https://doi.org/10.1038/s41380-024-02468-x)

Original Issue: Vol.44 No.21