重篤な転倒はその後の認知症診断のマーカーとなるか?

Are Serious Falls a Marker for Subsequent Diagnosis of Dementia?

この後ろ向き研究では、高齢者において新たに認知症と診断される割合は、重篤な転倒後1年以内により高くなった。

認知症は転倒の危険因子であるが、転倒は認知症の危険因子またはマーカーであるか? この後ろ向きコホート研究において米国の研究者らは、Medicareのデータベースを用いて、救急診療部の受診または入院を必要とする外傷を受けた、既知の認知症のない高齢者250万人(平均年齢78歳)を同定した。これらの患者の半数は転倒により受傷していた。

重篤な外傷の受傷後1年間に、転倒を経験した患者は、ほかの機転で受傷した患者よりも認知症疾患と診断される割合が高かった(11% 対 6%)。広範な社会人口統計学的変数および臨床変数で補正した解析では、重篤な転倒を起こした群における認知症の診断を受けるリスクは、ほかの外傷の群よりも21%高かった。

コメント

現在の診療ガイドラインは、重篤な転倒後の認知障害のスクリーニングを強調していないが、場合によると強調するべきかもしれない。認知症と診断された患者が転倒の時点で軽度の認知障害または未診断の認知症を有していたのかどうかは不明であるが、高齢者の重篤な転倒後の、認知障害の綿密な追跡とスクリーニングは、おそらく妥当であろう。

CITATION(S)

Ordoobadi AJ et al. Risk of dementia diagnosis after injurious falls in older adults. JAMA Netw Open 2024 Oct; 7:e2436606. (https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2024.36606)

Original Issue: Vol.44 No.21