血液プロテオミクスは生物学的年齢を予測できるか?

Can Blood Proteomics Predict Biological Age?

約200種類の血中蛋白のレベルが、加齢に伴う慢性疾患の確立されたマーカーと関連していた。

暦年齢は、「生物学的」加齢の不完全なマーカーである。これは生理学的健全性および機能の経時的な喪失と定義される。過去30年間に、いくつかのアプローチ、とくにテロメアの長さとエピジェネティック時計が、平均的な人においてほかの細胞より速く老化した細胞を同定するために用いられてきた。今回、ある国際チームは、血液プロテオミクスも生物学的加齢を予測できるかどうかを調べた。

このチームは、英国の45,000人において約3,000種類の血中蛋白の値を測定した。これらの蛋白のうち約200種類の蛋白の値は、まとめて生物学的年齢を予測した。「プロテオミクス年齢」が暦年齢より高い人々でみられる割合がより高かった特性は、以下のとおりであった:

  • より短いテロメアのような、確立された加齢マーカー
  • 加齢に伴う身体能力(例:握力、遅い歩行速度)および認知能力(例:反応時間)の低下
  • 加齢に伴いよくみられる多くの疾患
  • より早期の全死因死亡

予測上の価値があると同定された蛋白は、おもに炎症、ホルモンの制御、神経機能に関与している。英国のこの集団に基づいて作成された「プロテオミクス時計」はその後、中国とフィンランドで検証された。

コメント

加齢および加齢に伴う疾患に関連する蛋白を同定することは、理論的には、加齢を遅らせる治療法を同定することに役立ちうる。また、生物学的加齢のこのような検査は、人生の比較的早い時期に実施された場合、「生物学的に高齢の」患者に臨床家がより健康的な生活習慣を送るよう説得するのにも役立つかもしれない。しかし、そのことはまだ示されていない。そして願わくは、患者に「生物学的に若い」と伝えることが、それらの患者に不健康な生活習慣を促すことにならないことを!

CITATION(S)

Argentieri MA et al. Proteomic aging clock predicts mortality and risk of common age-related diseases in diverse populations. Nat Med 2024 Sep; 30:2450. (https://doi.org/10.1038/s41591-024-03164-7)

Original Issue: Vol.44 No.21