1件のシステマティックレビューは、利用可能なさまざまな選択肢の長所と短所を記述している。
閉経関連泌尿生殖器症候群(genitourinary syndrome of menopause:GSM)には、泌尿生殖器におけるエストロゲンの喪失および、程度はより低いがアンドロゲンの喪失に起因する徴候と症状が含まれる。GSM患者に対するさまざまなホルモン以外の局所および全身性の療法選択肢が登場したことから、腟保湿剤、腟エストロゲン、非エストロゲンホルモン療法に関するこのシステマティックレビューが行われた。
このレビューに含まれた46件のランダム化試験は主に、中等度~重度の泌尿生殖器症状を有する、50代の健康な白人女性の参加者を組み入れた。大部分の研究は期間が3ヵ月以下であったため、長期的な安全性の評価はできず、まれな害を検出する検出力を備えた研究はなかった。この文献レビューは、確実性が低い以下のエビデンスを提供した:
- 腟保湿剤および腟エストロゲンはいずれも、外陰腟乾燥の症状改善においてプラセボよりも有効であったが、いずれのクラスも性交時痛に対する利益は不明であった。
- dehydroepiandrosterone(DHEA)の腟内投与およびospemifene(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)の経口投与はいずれも、外陰腟乾燥および性交時痛の両方に対してプラセボよりも有効であった。
- 尿路症状に対しては、プラセボよりも有効な治療法は認められなかった。
- テストステロンの腟内投与、オキシトシンの腟内投与、DHEAの経口投与、raloxifeneの経口投与、bazedoxifeneの経口投与は、いずれのGSM症状の管理においても利益が不明であった。
CITATION(S)
Danan ER et al. Hormonal treatments and vaginal moisturizers for genitourinary syndrome of menopause: A systematic review. Ann Intern Med 2024 Sep 10; [e-pub]. (https://doi.org/10.7326/ANNALS-24-00610)
Ullman KE et al. Complementary and alternative therapies for genitourinary syndrome of menopause: An evidence map. Ann Intern Med 2024 Sep 10; [e-pub]. (https://doi.org/10.7326/ANNALS-24-00603)
コメント
局所エストロゲン療法は、とくに重症度が低いGSM症状を有する患者には、性交時痛が煩わしい症状の一つであっても、実際には優れた緩和をもたらすようである。DHEAの腟内投与とospemifeneの経口投与はいずれも、腟乾燥および性交時痛に対してプラセボよりも有効であったが、その費用(卸売価格の平均が1日あたり約10ドル)と、長期の安全性データが限られていることが、多くの患者にとってこれらの選択肢の受容可能性を制限している。