高齢者に対するインフルエンザワクチンは高用量か標準用量か?

High-Dose or Standard-Dose Influenza Vaccine for Older Adults?

1件の観察研究において、高用量ワクチンはインフルエンザ関連入院がより少ないことを伴った。

年1回の標準用量(standard-dose:SD)インフルエンザワクチン接種は、高齢者(年齢65歳以上)において中等度の免疫応答しか誘導せず、最適な予防とは言えない。抗原含有量がより多いワクチンはより有効かもしれない。1件の後ろ向き観察研究でフランスの研究者らは、2021~2022年のインフルエンザ流行期に、高用量(high-dose:HD)の4価インフルエンザワクチン(抗原含有量が4倍)の入院の予防に対する有効性を、SDの4価ワクチンと比較した。HDワクチンの接種者約40万人とSDワクチンの接種者160万人を人口統計学的変数および臨床的変数について傾向スコア(propensity-score)でマッチさせた。

インフルエンザによる入院率は、HD接種者で100,000人年あたり70件、SD接種者で100,000人年あたり91件であった(ワクチンの相対的な有効率23%)。感度分析は、HD接種者ではインフルエンザ以外の診断による入院率がより高いという傾向を明らかにし、HD接種者がマッチングの過程で捕捉されなかった併存疾患をより多く有することを示唆した。

コメント

これらの結果は今年のインフルエンザ流行期の前に適切なタイミングで発表され、高齢者においてHDワクチンの有効性がより高いことが確認された。しかしこの研究は、HDワクチンが適格者の中の少数にしか投与されていないことも示した。改善の余地があるのは明らかで、それはおそらくフランスにおいてだけではないであろう。

CITATION(S)

Bricout H et al. The relative effectiveness of a high-dose quadrivalent influenza vaccine versus standard-dose quadrivalent influenza vaccines in older adults in France: A retrospective cohort study during the 2021-22 influenza season. Clin Microbiol Infect 2024 Aug 24; [e-pub]. (https://doi.org/10.1016/j.cmi.2024.08.012)

Original Issue: Vol.44 No.21