molnupiravirの1件のランダム化試験は、リスクがわずかに低いことを示している。
いくつかの大規模な観察研究は、急性COVID-19患者の治療にmolnupiravirを使用することが、持続する症状(すなわちlong COVID)の有病率を低下させることを示唆してきた。非盲検PANORAMICランダム化試験で研究者らは、2021年12月から2022年3月のあいだに、SARS-CoV-2検査陽性となった26,000人(大部分がCOVID-19の予防接種を受けており、年齢が50歳以上もしくは50歳未満で主要な危険因子を有していた)を組み入れ、患者はmolnupiravir+通常の診療または通常の診療のみにランダムに割り付けられた。薬物および追跡へのアドヒアランスはいずれも非常に良好であった。molnupiravirは急性COVID-19患者において、回復までの期間を相当に短縮した(NEJM JW Gen Med Feb 1 2023、Lancet 2023; 401:281)。
研究者らは今回、3ヵ月および6ヵ月時点のアウトカムを報告している。molnupiravirにランダムに割り付けられた患者のほうが、持続する症状が有意に少なく、持続する症状の重症度が有意に低く、健康関連quality of life(妥当性の確認された評価法を使用)が有意に優れており、医療使用が有意に少なかった。しかし、これらすべての指標において、絶対差は比較的小さかった。
CITATION(S)
Harris V et al. Health outcomes 3 months and 6 months after molnupiravir treatment for COVID-19 for people at higher risk in the community (PANORAMIC): A randomised controlled trial. Lancet Infect Dis 2024 Sep 9; [e-pub]. (https://doi.org/10.1016/S1473-3099(24)00431-6)
コメント
これまでの研究は、long COVIDを有する人はウイルス核酸や抗原のリザーバーが残存している割合が高く、持続する症状の原因であるかもしれない継続的な免疫応答を有している割合が高いことを示している。急性COVID-19中の抗ウイルス薬による治療は、これらのリザーバーとその結果生じる症状を減少させると思われる。しかし、molnupiravirは急性疾患に対して有効性がより低いため、近年molnupiravirの使用頻度はnirmatrelvir-ritonavir(Paxlovid)よりはるかに低い。nirmatrelvir-ritonavirは、long COVIDに対して同程度またはそれ以上の予防効果をもたらすであろうと思われる。この仮説は進行中の複数の試験で検証されている。