よく使用される腕の標準ではない位置は、臨床的に意味のある血圧の過大評価をもたらした。
臨床ガイドラインは血圧測定の際に適切な技法が重要であることを強調しているが、多くの診療環境では、臨床家やスタッフはすべての推奨手順に従って測定を行うわけではない。米国の成人133人のこの試験で研究者らは、3つの異なる腕の位置(測定順序はランダム化したプロトコールで決定された)で各患者の血圧を測定することにより、標準ではない腕の位置が血圧測定値に及ぼす影響を評価した。
- 腕を机の上で支持し、カフは心臓の高さとする(基準位置)。
- 手を膝で支持する。
- 腕を支持せず脇に下ろす。
研究者らは、その他の点では診察室での血圧測定に関する標準指針に従った。
膝の上および脇に下ろした状態では、机の上に置いた状態に比べて測定値が有意に高くなった(収縮期および拡張期のいずれの測定値も4 mmHg~6 mmHg上昇)。患者を年齢範囲、肥満の状態、医療の利用状況、既知の高血圧の有無で分類しても、結果は一貫していた。
CITATION(S)
Liu H et al. Arm position and blood pressure readings: The ARMS crossover randomized clinical trial. JAMA Intern Med 2024 Oct 7; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2024.5213)
コメント
この研究は、患者が診察台に座っているときに血圧を測定するなど、血圧を測定する際にしばしば生じる「現実世界」での省略法のいくつかを再現した。誤った位置に腕を置くことは臨床的に重要な血圧の過大評価につながりことがあり、患者が高血圧を有する、または高血圧治療の強化が必要であると誤って分類されるかもしれないため、推奨される技法(腕を心臓の高さに完全に力を抜いて乗せる)には厳密に従う価値がある。高血圧のモニタリングのために家庭での測定がますます用いられるようになっていることから、測定技法について患者の教育も行うべきである。