β遮断薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬は、カルシウム拮抗薬と比べて関連が強かった。
症状のある血圧低下は血液透析の厄介な有害作用であるが、異なる降圧薬クラスに伴う透析中の血圧低下のリスクに関するエビデンスは限られている。この研究で研究者らは、欧州7ヵ国の血液透析データベースを用いて、透析開始後に降圧薬の単剤療法を開始した患者約4,000人を同定した。その後の透析中血圧低下(すなわち、セッション中の最低の収縮期血圧が90 mmHg未満)の発生率が、薬物クラス間で比較された。
結果は以下のとおりであった:
- 1人年あたりの透析中血圧低下の未補正の発生率は、カルシウム拮抗薬(calcium-channel blocker:CCB)で7.4件、アンジオテンシン変換酵素(angiotensin-converting-enzyme:ACE)阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(angiotensin-receptor blocker:ARB)で7.8件、ループ利尿薬で14.9件、β遮断薬またはα/β遮断薬で25.3件であった。
- 参照基準としてCCB(血圧低下の発生率がもっとも低い薬物クラス)を用いた場合、透析中血圧低下の反復エピソードのオッズ比は、利尿薬で1.52、ACE阻害薬またはARBで1.71、β遮断薬またはα/β遮断薬で2.27であった。これらの解析は、交絡する可能性のある変数で補正された。
- ACE阻害薬とARBで、結果は同様であった。
- β遮断薬とα/β遮断薬で、結果は同様であった。
CITATION(S)
Zoccali C et al. Antihypertensive drug treatment and the risk for intrahemodialysis hypotension. Clin J Am Soc Nephrol 2024 Oct; 19:1310. (https://doi.org/10.2215/CJN.0000000000000521)
コメント
β遮断薬、ACE阻害薬またはARB、ループ利尿薬はそれぞれ、CCBに比べて透析中血圧低下を伴う割合が高かった。著者らは、(単剤療法を受けている患者のみを研究することにより)個々の薬物の作用を分離しようと試みたため、降圧作用のある複数の薬物による治療を受けている患者には十分に一般化できないかもしれないと認めている。それでもなお、これらの結果は、透析中に症状のある血圧低下を繰り返し生じる患者において、薬物を調整せざるを得ない場合に有用かもしれない。