食の安全を確保できないことは、インスリンまたはスルホニル尿素薬を使用している高齢の2型糖尿病患者において、重度の低血糖と関連していた。
食の安全を確保できないこと(food insecurity)には、経済的なもの(すなわち、食物を買う経済的資源の不足)または身体的なもの(すなわち、食料品の買い物や調理が困難)がありうる。経済的なfood insecurityは糖尿病患者における低血糖のリスク因子であるが、身体的なfood insecurityについては、広く研究されていない。研究者らは、Northern CaliforniaのKaiser Permanenteシステムに登録されている、インスリンまたはスルホニル尿素薬を使用していた2型糖尿病の高齢者(年齢65歳以上)1,200人の調査データを解析した。
回答者の12%が、food insecurityを有すると回答した。これらの患者のうち38%が経済的insecurity、21%が身体的insecurity、41%が両方を有していた。全体で、5%が重度の低血糖イベント(意識を失う、またはほかの人の助けを必要とすることと定義される)を回答し、もっとも多かった原因は、食事を抜くこと、十分に食べないこと、食事までの時間が長すぎることであった。重度の低血糖の補正した相対リスクは、経済的または身体的なfood insecurityのいずれかを有する患者では4倍であり、その両方を有する場合は5倍であった。
CITATION(S)
Karter AJ et al. Food insecurity and hypoglycemia among older patients with type 2 diabetes treated with insulin or sulfonylureas: The Diabetes & Aging study. J Gen Intern Med 2024 Oct; 39:2400. (https://doi.org/10.1007/s11606-024-08801-y)
コメント
私は、インスリンまたはスルホニル尿素薬を使用している高齢の2型糖尿病患者に対して、低血糖について教育することに相当な時間を費やしており、投与に関する間違いを回避することにしばしば焦点を当てている。この研究の観察デザインは因果関係を確立するものではないが、私は経済的および身体的なfood insecurityの両方について尋ねることで、重篤な低血糖のリスクを有する患者の同定に役立てるつもりである。