軽度の虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作後の抗血小板薬2剤併用療法の利益の持続期間

Duration of Benefit for Dual Antiplatelet Therapy After Mild Ischemic Stroke or Transient Ischemic Attack

利益は投与初期に偏っているが、出血リスクは一定である。

無作為化INSPIRES試験は、clopidogrelとaspirinによる短期抗血小板薬2剤併用療法(dual antiplatelet therapy:DAPT)の時間枠を、アテローム性動脈硬化が原因と推定される軽度の虚血性脳卒中または高リスクの一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)の発症から72時間後までに拡大した(NEJM JW Gen Med Feb 1 2024N Engl J Med 2023; 389:2413)。一方の群はDAPTを3週間受けた後、90日目までaspirinの投与を受け、もう一方の群はaspirin単剤投与を90日間受けた。DAPTは、aspirin単剤と比較して脳卒中のリスクを低下させたが、中等度~重度の出血のリスクを上昇させた。

今回、研究者らは、これらのアウトカムの最良のバランスをもたらすもしれない最適な治療期間を評価した。最初のDAPT投与のaspirin単剤に対する利益は投与初期に偏っており、重大な虚血イベントの絶対リスク減少率は、第1週で1.42%、第2週で0.49%、第3週で0.29%であった。中等度~重度の出血の絶対リスクは、DAPTのほうがaspirin単剤よりも、第1週、第2週、第3週において数値的に(それぞれ0.05%、0.10%、0.18%)高かった(しかし、統計学的に有意には高くなかった)。

コメント

これらのデータは、虚血に対する利益が投与初期に偏っており、出血リスクは低いが経時的におおむね一定の率であることを示した、DAPTのこれまでの経時解析と一致している。軽度の脳卒中またはTIA患者に対する21日間のDAPT投与を支持するこれまでのコンセンサスに、変化はないようである。

CITATION(S)

Guan L et al. Duration of benefit and risk of dual antiplatelet therapy up to 72 hours after mild ischemic stroke and transient ischemic attack. Neurology 2024 Oct 8; 103:e209845. (https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000209845)

* 開示:Dr. Kimと研究の著者らのうちの1名は同一の学部で研究している。 (https://www.jwatch.org/editors/AU3153?editor=Anthony%20S.%20Kim,%20MD)

Original Issue: Vol.44 No.22